納得できない靖国答弁(朝日新聞・声)

またまた在庫一掃セールに戻る。昨年秋、朝日新聞の声に載った投稿である。


納得できない靖国参拝答弁
                            無職  西中 眞二郎
                           (東京都練馬区 66歳)
  十八日の靖国参拝についての小泉総理の答弁を、次のように要約しても良いだろう。①日本人として戦没者に敬意を払うことは悪いことではない。②したがって、それに対する他国の批判に従うことは疑問だ。
 この答弁には、いくつかの疑問がある。まず、たとえ大多数の日本人が靖国神社につき総理と同じような感覚を持っているとしても、それに不快感を持つ他人がおり、かつ、その不快感にある程度の理由がある場合、その他人の痛みに共感を覚え、それを尊重するということは、決して自分の立場を捨てることにはならない。
 加えて、ほとんどの日本人が靖国神社に対し総理と同じ感覚を持っているとは、私は思わない。神道という宗教形式のものであること、戦死者の慰霊という目的の裏返しとして戦争遂行のための手段として、さらに言えば若者を死に追いやるための手段として利用されたこと、戦犯の扱い等々の理由から、靖国神社に関し総理と異なる感覚を持つ人も多いと思うし、私もその一人である。私の父は海軍軍人で靖国神社に「祀られて」いるが、父の慰霊と靖国神社とは、私の心の中では全く結び付いていない。
 総理答弁は、そういった意味で納得できるものではない。わが国の「国益」のためにも再考願いたいし、日本人がすべて総理と同じ感覚を持っているとは限らないという事実を御認識頂きたい。
  (平成16年10月22日・朝日新聞東京版所載のものの原文)

 本日付けでの注記
① 編集部の編集の結果、掲載されたものは、私の書いた上記の原文とは少し変わっている。
② 載った後で、多少の反応があった。
  掲載の当日、知らない人から電話が2本あった。一つは反論であり、紳士的ではあったが、「中国は反日教育を行っている。そのことを十分勉強せよ」との趣旨のものだった。そのことを全く知らないわけではないが、それにはそれなりに理由もあるだろうし、それに「反日」の口実を、こちらからわざわざ与える必要もないと思う。また、私の論旨は、外国の反発というより、むしろ私自身から見ても異議があるというものの積りである。もう一つは「大賛成」というものであり、むしろ私より激しい意見をお持ちの方のようだった。
  御両人に、「なぜ私の電話番号が判ったのか」とお尋ねしたところ、いずれも「NTTの番号調べで」ということだった。後者の方からは後日お手紙も頂いた。住所も「NTTの番号調べで」判ったとのことだった。なお、その後新聞社経由で「賛成」のお便りが1通あった。私より年配の方なのだが、「靖国神社に祀られるのだから」という理由で志願兵応募を教師から激しく迫られたという内容のものだった。
③ その数日後、ある人に電話があった話をして、
  「これがスズキ・アキラさんなどというありふれた姓名の人なら、番号の調べようもないのでしょうが、私の場合、あまり同姓同名の人も居そうにありませんしね。」
と申し上げたら、その人が不思議そうな顔をして、
  「アレ、どうして御存じなんですか。そんなはずはないのに・・・」
  その人の娘婿の名前ガ「スズキ・アキラ」さんなのだそうだ。全くランダムに口走った名前との偶然の一致にちょっとびっくりして、「うかつなことは言えないものだ。今日宝籤を買ったら、大当たりするかも知れない。」とお互いに大笑いした。帰りに宝籤を買ったが、300円しか当らなかった。
④ 姓名だけで住所や電話番号まで判ってしまうのも嫌なので、その後「NTTの番号調べ」からは削除して貰った。もっとも、紳士録等で調べれば判る話ではあるが・・・・。