2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

題詠100首選歌集(その5)

題詠100首というイベント(五十嵐きよみさんという歌人の方が主催しておられるネット短歌の会)に参加している。2月から11月までの期間に、題の順に各自が投稿するというシステムである。私も参加して10年目になるのだが、例年通り、私の投稿が済ん…

題詠100首投稿(096〜100)&完走報告

題詠100首投稿 096:翻 日の丸の:翻るを見て心地良く感じておりし時期もありたり 097:陽 紫陽花も薔薇も芽吹きし狭き庭に積もらぬままに雪降りしきる 098:吉 夕立にビルは煙りて不吉めく闇の中へと車は進む 099:観 観光バスホテルの前に着きたるらし朝寝の…

題詠100首選歌集(その4)

選歌集・その4 003:育(58〜82) (椋)冬の陽がガラスの壜に溶け込んで ヒヤシンスの花ほんのり育つ (とおと) 飼育さるる者たる矜持天鵞絨(びろうど)の細き首輪は汚さずに食ぶ 004:瓶(52〜76) (大島幸子)旬ものの恋、フレッシュな瓶詰めに…

題詠100首投稿(091〜095)

題詠100首投稿091:覧 昨日乗りし遊覧船が波立てて朝の湖面に影映しいぬ 092:勝手 心技体それぞれ勝手に歳とりてアンバランスにわれは老いたり 093:印 好きな絵の印象歌に留めんとペンを走らせる展覧会場 094:雇 いつのまにか社会構造変わりたり例えば非正…

題詠100首投稿(086〜090)

題詠100首投稿 086:魅 魅の文字が「鬼」を潜めているからは「魅力」の源(もと)は異界にありや 087:故意 故意なくて人の心を傷つけるはかえって罪の深き所業か 088:七 七卿が隠れしという家ありて鞆の港の朝凪ぎている 089:煽 春一番の風に煽られ帰る道…

題詠100首投稿(081〜085)

題詠100首投稿 081:網 鳥除けの網らしきもの立てられて畑いささか美術展めく 082:チェック チェック機能欠きたるままの与党なりてこの国どこに流され行くや 083:射 春少し近付きたれば庭に射す西日の角度異なりて来ぬ 084:皇 天皇の歩みにつれて受勲者の…

題詠100首投稿(076〜080)

題詠100首投稿 076:ほのか 灯を受けて桜はほのかに白くありぬとある小さな幻想の如く 077:聡 ことさらに耳聡き夜は窓を打つ雨音気にして寝つけずにおり 078:棚 ふるさとの座敷にありし飾り棚我が家の二階に馴染みて久し 079:絶対 絶対との言葉は使いたく…

題詠100首投稿(071〜075)

題詠100首投稿 071:側 東側のみに雲塊侍らせて富士屹然と聳えておりぬ 072:銘 座右の銘は持ち合わせぬがかねてより「平明愚直」をモットーとせり 073:谷 山深き谷にかそけき村のありここにも愛と暮しのあらむ 074:焼 海岸通2丁目裏の細道に魚焼く匂い漂…

地方税の重税感(スペース・マガジン3月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。 [愚想管見] 地方税の重税感 西中眞二郎 所得税の申告の季節になったが、毎年感じるのは地方税の重税感だ。ささやかな年金生活者である私の場合、所得税額は1万円前…

題詠100首投稿(066〜070)

題詠100首投稿 066:浸 古き日の晶子もこの湯に浸りしか男ばかりの出湯はぬるし 067:手帳 やや酔いて手帳に書きし歌一首判読するに苦労しており 068:沼 入水せし娘の伝説残る沼にダケカンバの赤燃ゆるが如し 069:排 温泉の排水溝に流されし小さき虫の行方…

題詠100首投稿(061〜066)

題詠100首投稿 061:倉 川沿いに白壁の倉立ち並び夕日に染まる街行き過ぎぬ 062:ショー ショーを見て更けて帰りしロンドンの空に冷たく月かかりいき 063:院 病院の待合室の雛飾り皆臈たけた顔で並びぬ 064:妖 梅杏小さき庭にも妖精が舞い降り春の訪れ告げ…

題詠100首投稿(056〜060)

題詠100首投稿 056:余 エレジーは笑顔で歌っちゃいけないと余計なことをわれは言いおり 057:県 県境のトンネル出れば心なしか山のかたちも異なりて見ゆ 058:惨 悲惨という言葉を使うは好まずと言えどもほかの言葉を知らず 059:畑 母死して既に久しきふる…

題詠100首選歌集(その3)

選歌集・その3 005:返事(041〜066) (@貴)すべてもう雪のせゐにす返事なき夜も前髪の決まらぬ朝も (五十嵐きよみ)無視すればいいのに返事をしてしまい苦い思いでネットを閉じる (諏訪淑美)お返事をなさいと言われた孫息子アッカンベーして駆…

題詠100首投稿(051〜055)

題詠100首投稿 051:たいせつ たいせつな記録と思えど失せし後は多少気になるだけのことにて 052:戒 歳のせいか近頃思い込み多しと時には自戒することもあり 053:藍 かつて会いし藍染職人やや老けて旅番組のテレビに映る 054:照 地下鉄を出れば夏の陽照り…