2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

題詠100首選歌集(その39)

選歌集・その39 004:果(192〜216) (星川郁乃)明日からは腐敗と呼ぶのだとしても今日の果実を抱くよりなくて (由布子)果実酒とふ洒落たものなく黒豆の酢漬けでつくるサワードリンク (桑原憂太郎)業績は吸い込まれゆく紙のごとシュレッダーの手前…

題詠100首選歌集(その38)

選歌集・その38 001:今(223〜247) (なまにく)今日が晴れ 明日が雨なら 明後日は私が虹になって消えたい (由布子)妹のために絶望せず生きるこんなことしか今はできない (桑原憂太郎)今までの我の軌跡もゴミ箱のワンクリックであつさりと消える …

題詠100首選歌集(その37)

選歌集・その37 013:逆(153〜177) (ちょこま)教科書を逆さのまんま読みあげてしまったように終わる告白 (桑原憂太郎)逆さまにしても右肩は上がらない業績グラフを眺め続ける (今泉洋子)わたくしを秋が詩人に仕立て上げ逆光のなかに戦げる薄 …

題詠100首選歌集(その36)

選歌集・その36 006:時代(180〜204) (ちょこま) やなことをぜんぶ時代のせいにした今朝はラインがうまく引けない (ゆいこ)教室のしなびたピアノで友の弾く少年時代が生んだはつなつ 029:座(101〜125) (じゃこ)寝るために買ったソフ…

粗雑な論理(スペース・マガジン9月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。このところ原発がらみのものを書いていることが多いが、実は同誌は「反原発」の色彩が濃い記事が多いので、それとのバランスも考えて、あえて「反原発」に水を差すよう…

題詠100首選歌集(その35)

選歌集・その35009:程(159〜183) (やまみん)寂しさも この程度なら大丈夫 熱帯夜にはひとりで眠る (新藤ゆゆ)泣く程のことじゃなかった 陽のあたる右肩だけが褪せたTシャツ 012:眉(157〜181) (嶋田さくらこ)知られたくないことだら…