2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

題詠100首選歌集(その55)

選歌集・その55 014:残(204〜228) (今泉洋子) 夏草に昭和の匂ひ残りゐてまたやつて来る終戦記念日 (山階基)過ぎてゆく夏をまとめて見送っていま残照をひろいあつめる (鮎美)ひと夏の残滓のごとき塩散らしトマトの赤を噛みしめてゐる (ろくも…

題詠100首選歌集(その54)

選歌集・その54 033:奇跡(152〜176) (星川郁乃) 平凡で幸せでしたという奇跡 今日のごはんはハンバーグです。 (くろかわさらさ)どんぐりのはだはほんのりつめたくて奇跡ばかりをねがうあけがた (陸王) 出逢うことだけで奇跡の妙薬を使い果たし…

題詠100首選歌集(その53)

このところ急に涼しくなった。昨日からカーディガンを羽織って靴下を履いているのだが、それでも薄ら寒さを感じるほどだ。この題詠100首も、早いものであと1月あまりとなった。 <ご存じない方のために、時折書いている注釈> 五十嵐きよみさんという歌…

題詠100首選歌集(その52)

選歌集・その52002:幸(260〜284) (とん)一日が今日も幸せであるように願いをこめて葱刻む朝 (勺 禰子 しゃく・ねこ) さまざまな由来を思ふに足りるほど北海道に「幸町」多し (睡蓮。) 一人ならグラス一杯二人ならボトル一本つづく幸せ 003:…

題詠100首選歌集(その51)

選歌集・その51036:暑(135〜159) (萱野芙蓉)暑い夏でしたね脱いだうすものに夕映えあはくほてりを残す (佐藤紀子) 帰り来て窓を大きく明け放つ 昼の暑さの籠れる部屋に (星川郁乃) 書きかけた残暑見舞いは出せぬまま褪せて彼岸の中日が来る (…

メールと電話(スペース・マガジン10月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。このところ比較的重い話が続いたので、少し軽い話に戻そうと思って書いた。 [愚想管見]メールと電話 西中眞二郎 このところ電子メールに頼ることが多い。この原稿もメ…

題詠100首選歌集(その50)

選歌集・その50 011:ゲーム(203〜227) (さくら♪)手作りのゲームで遊ぶ子らの声明るく強く響く避難所 (月夜野兎) もういいね疲れるだけの恋だから 自分で選ぶゲームオーバー 027:水(152〜176) (月原真幸)おたがいをかけがえのないも…

題詠100首選歌集(その49)

今日は冷たい秋の雨が降った。日暮も早い。何の不思議もないことだが、間違いなく季節は変わって行く。 選歌集・その49 007:耕(231〜256) (とん)びうどどど 夏の天のかなたより雲を耕す風走りをり (長月ミカ) トラクター乗って耕すたれかれも皆…