2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

題詠2012選歌集(その14)

選歌集・その14 003:散(131〜155) (黒崎聡美) 散薬を朝・夕に服む冬なのかもう春なのかあいまいな日に (佐藤紀子) 街灯に照らしだされて真夜中の氷雨は白き光を散らす (なゆら)「きのうよりひらいているよ」と指さして母に教える散歩の途中 …

題詠2012選歌集(その13)

選歌集・その13 001:今(147〜172) (希) ふわふわの女子に憧れながらまた今日も頑固な黒髪を梳(と)く (ケンイチ)人びとの離れゆく闇にゐ残りて今宵は白く纏まる吐息 (黒崎聡美)両頬を今すり抜けた風のなか春のにおいは確かにあった (佐藤紀子…

題詠2012選歌集(その12)

選歌集・その12 016:力(53〜78) (五十嵐きよみ) 包丁に力を込める 強情な南瓜がまぶしい本音をこぼす (七十路ばばの独り言)連れ添って50年経た今もまだ力の優劣争う夫婦 017:従(52〜76) (猫丘ひこ乃)落ちていた軍手が指さす方向に従っ…

題詠2012選歌集(その11)

選歌集・その11 010:カード(81〜105) (さとうはな) 空色のポストカードの片隅の子犬にきみの名を名付けたり (ひぐらしひなつ) カードキー挿せばしずかに回りだすふたり行方のない冬の夜 018:希(51〜75) (酒井景二朗)黒板に昨日書かれ…

題詠2012選歌集(その10)

大震災から早くも1年。月並みなセリフではあるが、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、少しでも早い復興と被害者の方々の生活の回復をお祈りしたい。 選歌集・その10 007:驚(86〜111) (希屋の浦) 驚いた素振り見せずに顔上げた恋は…

題詠2012選歌集(その9)

選歌集・その9 008:深(82〜106) (湯山昌樹)海底の深いところは静やかに海雪(マリン・スノー)が降り積むという (さとうはな)伝わらぬ言葉の多さ木蓮の若木に深く水遣りをする (磯野カヅオ)学帽を目深にかぶる少年のステンカラーに降る春の雪 (…

少子高齢化(スペース・マガジン3月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。 [愚想管見] 少子高齢化 西中眞二郎 少子高齢化については3年前にも触れたが、22年国勢調査の結果が出たので、重ねてざっと眺めてみよう。平成22年の我が国人口…

題詠2012選歌集(その8)

選歌集・その8 002:隣(110〜134) (槐) 寄り添ひて甘えて拗ねて触れあひて隣りあはせの嫉みを隠す (磯野カヅオ) 参拝の長き行列見渡せばなべて隣に連れ伴へり 003:散(104〜130) (紗都子)散髪を済ませたあとの少年の首すじ細く闇に浮きた…

題詠2012選歌集(その7)

選歌集・その7 001:今(122〜146) (ネコノカナエ) 生きていることの言い訳繰り返しわたしは今日もみず菜を茹でる (如月綾)午前2時過ぎに「今から逢いたい」と言い出すような奴に惚れてる (詩月めぐ) 冷える指包んでくれる君といる今夜の雪は…