自民党運動方針に異議(朝日新聞・声)

 今日の朝日新聞の「政態拝見」という欄に、政治部記者の方の「振り子は戻るか自民党」というレポートが載っていた。共感するところの多いものだったが、それを読んで、去年1月に朝日新聞の声に掲載された私の投稿を思い出した。このブログでも既に似たようなことを書いた記憶があるが、あらためて再掲しておこう。

朝日新聞「声」

           自民党運動方針案に思う
                   東京都練馬区  西中眞二郎  六六歳  無職
 自民党が六日に公表した運動方針案を見て、実は驚いた。「靖国参拝の継続」を盛り込んだ上、他方「国益」の名の下にタカ派的政策も打ち出している。これまでの私が迂闊だったのかも知れないが、「国益」を考えずに右傾化しつつある小泉政権の独走かとこれまで思っていたことがらが、自民党の運動方針として公式に決定されようとしている。 国民全般の支持を広く集めて政権を担当して来た自民党は、いまや責任政党・現実政党としての立場を放棄して、一部の右寄りの思想に立脚した思想政党に変質しようとしているのではないかという危惧の念を抱かざるを得ない。
 私を含め自民党にある程度の信頼を寄せて来た選挙民は、果たしてこのような自民党の性格、あるいはその性格の変貌を、どこまで意識して来たのだろうか。自民党の国会議員の中に知人も多いが、彼らは概してバランスのとれた良識的な人々である。その彼らが本気でこの運動方針案のような考えに立脚しているとは思えないし、またそうであって欲しくはない。
 少なくとも私は、このような運動方針をとる政党にこの国の進路を託する気持にはなれない。一部の勢力に惑わされることなく、政権政党としての自覚と責任感の上に立って、党内で真摯な論戦が交わされることを期待するし、その結果を注視して行きたい。
<平成16年1月11日 朝日新聞東京本社版「声」所載>