平成の大合併(スペース・マガジン)

 またまた在庫品に戻る。スペースマガジン5月号に書いたものの流用である。(スペースマガジンについては、5月1日付けブログ参照)この種の市町村物は、私の最も関心の深いテーマで、昨年春に「市町村盛衰記」という著書を出版文化社から刊行した。もっとも、売行きは余り芳しくないようだが、私にとってはライフワークとでも言うべき産物であり、皆様共通の基礎知識として是非知って頂きたいものでもあるので、これからも折に触れて書き連ねて行きたいテーマである。(なお、同誌の体裁は縦書きなので、数字等は和数字になっているが、このブログでは横書きに合わせて洋数字にした。)


[愚想管見] 平成の大合併                    西中眞二郎

 いわゆる平成の大合併が進んでいる。御当地日立市十王町と合併して久々に人口20万人台の大台に乗ったことは、まずは御同慶の至りである。茨城県全体を見ると、平成12年の国勢調査時の20市、48町、17村から、来年3月末には32市、10町、2村へと、大きく変化するはずである。
 話の前提として、ここで市町村合併の手順を簡単に御紹介しておくと、まず関係市町村による合併協議会が開かれる。この時点では先行きは不透明だが、関係市町村議会による合併議決が行われれば、実質的には合併確定と言って良いだろう。これに続くのが総務省による合併の告示であり、これで形式上も合併が確定する。前述の茨城県の数字やこれから触れる数字は、今年の3月末までに合併の議決が行われたものを含めて集計した数字である。なぜ、今年の3月末という時期で集計したかと言えば、現行の合併特例法の有効期限が今年の3月末であり、そのうちいくつかの特例につき、同日までに所定の手続を踏めば1年後まで有効ということになっているからである。
 本筋に話を戻すと、昭和29年前後のいわゆる昭和の大合併の結果、全国市町村の数は、いずれも10月1日現在で、昭和25年の10,500から、30年の4,877、平成12年の3,230へと大幅に減少した(いずれも東京二十三区は1市として算定。以下も同じ。)。現在進行中の平成の大合併の結果、今年3月31日現在の市町村数は、平成12年から707減少して2,523市町村となっており、更に1年後の来年3月末には、前述の議決済みのものまで拾うと、平成12年に比して約43%減の1,826市町村となる。
この1,826市町村のうち、まず市について見ると、さいたま市のような市同士の合併により23市が減少し、他方129市が新たに誕生して、平成12年の672市から106増えて778市となる。逆に減ったのは町と村で、1,142町、368村の減少である。この結果を要約すれば、平成12年の672市、1991町、567村から、17年度末には、778市、849町、199村ということになる。
 この結果、全国で市が占めるウェイトは、平成12年国勢調査の際に人口で79%、面積で28%だったのが、今回の合併により、人口の89%、面積の56%が市に属することとなり、市町村の中で「市」の占めるウェイトが圧倒的に高くなって来る。
 都道府県別に見ると、新潟県の77市町村の減が最も大きく、広島県の62減、岐阜県の57減、長崎県の56減、愛媛県の50減がこれに続く。率で見ると、広島県の72%減、愛媛県長崎県の71%減、大分県新潟県の69%減と続く。地方別に見ると、中国地方64%減、四国地方54%減と、西高東低の傾向にある。
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 「随想」というより「ニュース解説」になってしまったが、まだ触れ残したことも多い。実は、この種のことは私の最大の道楽であり、お得意の分野でもあるので、御退屈の向きもあろうかとは思いつつも、書き手の特権を濫用して次号にもこの続きを書かせて頂きたいと思っている。
<スペースマガジン・平成17年5月号所載>