島村農水大臣のお粗末な発言

またまた朝日新聞の「声」に投稿したボツ原稿である。投稿して1週間になり、何の反応もないから、もうボツになったものと思って良いだろう。このところ同欄はボツ続きである。内容にユニークさがないのかも知れないし、ここ2年弱の間に、同じような種類の拙稿が3回掲載されているので、同一人物への偏りを避けるという要素もあるのかも知れない。
 なお、字数の関係もあるので、投稿原稿自体は少し短縮したものだったが、私の真意を伝えるという意味で、以下は、短縮前の草稿である。
 とにかく、最近腹立たしい種には、ことを欠かない。私が嫌がらせの年齢になったのかも知れないが、それにしてもお粗末かつ嘆かわしい世相ではある。


      島村農水大臣のお粗末な発言

 7月23日の新聞によれば、島村農林水産大臣が、前日福岡市で開かれたタウンミーティングで、靖国問題に関し「中国の言いたい放題だが、私なら『あなたがたの国も日本を攻めたことがある』と反論する」旨発言し、中国の対応を批判されたそうだ。呆れてものが言えない。
 おそらく「元寇」のことを念頭においているのだろうが、古い古い歴史的事実と生々しい第二次大戦とを同列に置いていることは、荒唐無稽というしかない。ほかにも両者の違いは多々あるが、いちいち列挙するまでもないだろう。
 この発言は、「日本人の若者への歴史教育の必要性」というテーマで飛び出したものらしいが、この程度の歴史認識の人が「歴史教育」について語るということが、そもそもナンセンスであり、島村大臣が「自分には見識がある」と考えておられたのだとすれば、それは思い上がり以外の何物でもない。
 もう一つ、ある意味ではより基本的な問題は、島村氏が「国益を大事にしなければならない閣僚だ」ということを認識されず、無責任な放言をしているという点である。いかなる意見をお持ちであろうと、「国を代表する閣僚」だという認識のない言動は、お粗末極まりない。本当に必要なことであれば、相手を刺激することもやむを得ない場合もあろうが、この場合はそうではなく、「百害あって一利なし」という思慮分別を欠いた発言である。しかも、自分の所管事項ではなく、責任をとれない立場の「農水大臣」の発言である。これが小泉政権の体質なのだとすれば、一大臣の放言に止まらず、由々しい問題だと思う。<8月10日の追記>
 島村大臣は、「国会解散」の閣議で署名を拒否し、小泉総理により罷免された。この点は、高く評価したい。「お粗末な発言」がこれで帳消しになるわけではないが、閣内にあって唯一気骨のある人物だと少し見直した。それにしても、ほかの大臣連中の何とだらしないことか。