メール坊主・メル友・ブロ友

  メール坊主・メル友・ブロ友


半年くらい前の話である。夜の地下鉄に乗っていたら、「メール坊主」という言葉が耳に入って来た。一体何のことだろうと思って聞き耳を立てていたら、「あいつはメール坊主だから・・・」という類の話で、話しているのは30歳前後の若いサラリーマン風の二人連れである。話の内容からすると、どうも「茶坊主」と「メール」の合成語で、「会社の上役にメールを打ってゴマをする」男のことらしい。それにしても、はじめて耳にする言葉である。
少々酒が入っていたので、その二人連れに、厚かましく「はじめて聞いた言葉ですが、メールでゴマをする茶坊主という意味ですか。」と聞いてみた。返事はイエスである。「そんな言葉があるんですか。」と重ねて聞いてみたら、「いや今二人で話しているうちに、自然に出て来ちゃった言葉です。」「どうもお話に割り込んで失礼しました。面白い言葉だと思ったもんですから・・・・」
それだけの話だが、パソコンの普及とともにそのような新しい人間関係も生まれているようで、「メール坊主」とは言い得て妙だと思った。


そう言えば「メル友」という言葉は、「メール友達」の略だろうが、すっかり定着しているようだ。もっとも、「メルトモ」なのか「メルユウ」なのか、私はその読みも知らないし、その正確な意味も知らない。「全く知らない相手だが、何かのきっかけでメールのやりとりをするようになり、顔も知らないままの、メールの上だけの友達」というのが最も狭い意味だと思うが、そこまで限定する必要はなく、「もともとの友達で、盛んにメールのやりとりをしている相手」まで入っているのかも知れない。
私にもメールのやりとりをする相手はいるが、いま書いたような「狭い意味でのメル友」は目下のところいない。もっとも、最近になって「ブロ友」は何人か生まれた。4月ほど前からブログをはじめたのだが、私のブログにコメントを書いてくれた人が何人かいる。私も返事のコメントを書き、先方からまた反応がある。全く見も知らぬ人々だが、そうなると、何となく友情めいた気持も湧いて来る。その種の「ブロ友」をお持ちの方は、結構多いのだろうと思う。


ところで、「メル友」や「ブロ友」とは、どのようなお付合いをしたら良いのか、誰も教えてくれない。私としては、「友情」が湧けばそれなりに自然なお付合いをすれば良いのだと思っているのだが、以前「パソコンの上でのやりとりは、パソコンを通してのみの接触が原則であり、お互いに干渉しないのが前提である。したがって、現実に顔を合わせて接触することは邪道であり、避けるべきだ。いわば、バーチャル・リアルティーみたいなものだ。」という趣旨の文章をどこかで読んだ記憶がある。それも判らないわけではないが、お互いの合意の上でなら、そこまで厳格に考える必要はないだろうと思ったりしている。
そう言えば、高校生の頃、ペンフレンドというものが結構盛んだった。何度かの手紙の交換の後、写真を交換したり、場合によっては顔を合わせたりという経験もあるが、それに似ている関係なのかも知れない。もっとも、ペンフレンドの場合なら、住所や名前は判っているわけだから、それよりは更に薄いお付合いということになるのかも知れない。


私のブログの場合、最初の方でかなり詳細な自己紹介もしているので、私の氏素性は明らかになっている。もっとも、多少の防衛本能もあって住所と電話番号は書かずにいるが、紳士録ででも調べれば、それを知るのは容易なことだと思う。そういった意味では、私だけが裸になっている「お付合い」であり、少々不公平だという気がしないでもないが、自分で好んでそのようなブログを作ったのだから、自業自得だと言うしかない。
もちろん、ブログに書込みをしている方も、ある程度の自己紹介めいたことはしている場合が多い。しかし、それを完全に真に受けて良いのかどうかは、保証の限りではない。以前「ある若い女性が『メル友』を同性だとばかり信じて、誘いに応じて会ったところ、いかがわしい男性が女性と称していたもので、事件に巻き込まれた」という類の新聞記事を読んだ記憶がある。しかし、私のブログに書込みをして下さる方に、そのような人がいるとは思えない。また、私のブログへの書込みは、「題詠マラソン」というネット短歌の関連の人からの場合が多いので、その人が作った短歌の内容を私も承知している。そうなれば、なおさら、性別詐称はもとより、年齢詐称や経歴詐称もむずかしい話だと思うし、そもそも書込みの内容からして、いずれも信頼に値する人ばかりだと思っている。


ところで、ブログでの「お便りの交換」は、当然のことながら誰の目にも触れるものである。したがって、個人的なことなどに触れるのは、お互いに憚りがある場合もあるだろうと思う。そういった意味では、ブログを通してのお付合いには、会う会わないというところまで行く以前に、文章の中身にすら限界があるとも思う。
そんなところから、先に触れたような「お付合い」のルールを知りたくなる。例えば私のメールアドレスをブログに書いて、「ブログを通して内容が公になるのが憚られる方は、このメールアドレスにメールして下さい」とお願いすることは当然可能ではあるが、それが「ブロ友」としての「正しいお付合い」として認められるのか、言い換えれば、ブログを通しての公衆の面前でのお付合いから、メールを通しての密室でのお付合いに切り替えることが、お互いに承知の上であってもマナー違反なのかどうか、あるいはその種のお願いをすること自体、少々思い上がった自意識過剰のお願いなのか、その辺の勘どころが良く判らない。
いずれにしても、絶対的なルールやマナーがあるわけではないのだろうから、私が少々神経質に考え過ぎているのかも知れず、要するに常識の範囲内で考えれば足りる話だというのが、今日のところの私の結論である。


以上長々と書いた駄文は、ある意味では、これから書く短い文章の前置きである。
「私のブログを御覧になった皆様、ブログへの書込み大歓迎です。私のことはこのブログを通してある程度ご存じだと思います。決して怪しい者ではありません。もしブログのコメント欄には似つかわしくないとお思いのお話でもありましたら、どうか御遠慮なく私あてにメールして下さい。メールアドレスは、 nisinak001@@ybb.ne.jp (@を一つ消して下さい)です。」