題詠マラソン秀歌選(過去ログ171〜180)

 またしても題詠マラソン。いやあ、最終日ともなれば大変なものだ。現在締切り10分前だが、過去ログは184まで溜まっている。できれば秀歌選は今日ケリを付けて、明日から百人一首に掛かりたいと思っていたのだが、この分では、最終秀歌選は、明日に持ち越さざるを得ないようだ。とりあえず、今日1日で溜まった過去ログ10回分を整理したい。
 はやばやとゴールはしたものの、最後になって私まで焦ることになるとは思わなかった。 (なお、私にも「秀歌」は多少あるとは思いますが、私の歌はご遠慮させて頂いております。もし私の作に御関心がおありの方がおられましたら、5月15日の欄をお覗きになって下さい。)

    題詠マラソン秀歌選・過去ログ171〜180

003:つぼみ  村田馨  あじさいのつぼみいずこかさがす旅北鎌倉駅やや曇りたり
011:都  尾崎レイ  せわしなく近視レンズの汗拭いて都の様(さま)の記事読み流す
015:友  瓜生ゆき  改札で呼び止められしあだ名あり 友の笑顔が制服を着る
033:魚  島田牙城  魚扁の字の羅列あり空を飛ぶ鯨の絵あり老人ホーム
038:横浜  久野はすみ  白い家の庭に柘榴の木があった あれはわたくしだけの横浜
041:迷  高見里香  ひまわりの巨大迷路に迷い込み見つからない子はひまわりになる!
042:官僚  久野はすみ  片耳だけのピアスを外し若者が官僚となる朝の宿舎に
054:靴下  花笠海月  靴下は黒く吊るされゐたりけり秋のひざしに冷えてゆきつつ
054:靴下  ハル  紺色の長い靴下しなやかに母校の少女とすれ違う秋
061:じゃがいも  ヤ・ユースケ  とろろいもじやがいもさといもさつまいも いもといふものみなしづかなり
066:消  片岡幸乃  紅葉葉の下照り消ゆき境内の藍染川は闇と流るる
067:スーツ  津和歌子  無難とは心地良きこととりあえずパンツスーツに身を包みおり
067:スーツ  野田薫  引きとめてほしくて少し大袈裟にスーツケースを閉じたさよなら
067:スーツ  高瀬いつか  感情はスーツの内に仕舞い込み名刺みたいな笑顔を見せる
068:四  鈴木英子  四方八方手は尽くしたが七転び八起きならざり故郷へ帰る
068:四  岡田悠束  ひいやりと鼻に冷気がかけぬけて三寒四温の三寒に立つ
073:額  荻原裕幸  髪わづかによけて額にくちづけた冬のひだまりから外へでる
075:続  車前子  小春日の奥の院へと続く道竹枝穂垣の風に吹かるる
076:リズム  荻原裕幸  リズムなき日々の真中にみどりふぐ二匹を置いて二人を照らす
080:書  高瀬いつか  書きかけの手紙の言葉が嘘っぽく思えてきたので今日は眠ろう
081:洗濯  芳井奏  洗濯機回す夕方 溶け出した空の欠片が混ざって消えた
083:キャベツ  車前子  千切りのキャベツを刻む手早さに比例しずぶとき女となりぬ
089:巻  岩崎恵  銀杏の葉がするりと前を横切って巻きスカートで歩く並木道
091:暖  まっちゃ  厨の火強く燃やして暖を取る今日会ひし人を忘れむがため
092:届  小野伊都子  たった今拾った恋の届け出を君に渡しに行く昼休み
096:留守  翔子  留守電の思いがけないメッセージ乱れる心とどめ米研ぐ
097:静  片岡幸乃  利根川は幅いつぱいに水を湛へ穀倉地帯の夜の静けさ
097:静  車前子  山際に朝日かかりて小鳥来る蕎麦咲く村のいまだ静けし