税調会長発言に異議

 ここ10日ばかり、ブログの更新を怠ってしまった。元気でやっているというアリバイ作りを兼ねて、他の目的で書いたものを、これまで書いたものとかなり重複するが流用しよう。実は、例によって、朝日新聞の「声」に投稿したものである。投稿して10日ばかりになるので、多分ボツになったと考えて良いのだと思う。決して投書魔ではない積りなのだが、ここ数年、「一言言わなければ気が済まない」と思い込むようなケースが多い。世の中の流れがそうさせるのか、それとも私が「嫌がらせの年齢」になったせいなのかは判らないが、性懲りもなく、ボツを承知で、相変わらすときどき投稿している。考えてみれば、2年半前に任期を残して仕事を離れた最大の理由が「自由にものを言いたい」ということだったのだから、そういう意味では、首尾一貫しているのかも知れない。
 なお、以下の文中「最高税率50%」というのは、所得税地方税を合わせての税率であり、所得税だけなら最高税率は37%である。


税調会長発言に異議

 政府税調の石会長は、「最高税率50%は世界の中でも高く、国際的な流れの中でも高めるべきではない」と語ったというが(2月18日東京版朝刊)、これには異議がある。
 まず、これからの議論を先取りして、責任者である税調会長が私見を述べることは、立場を弁えない無責任な発言だと思う。
 また、内容的にも異議がある。税の目的は、税収の確保のみならず、社会的な所得の再配分にもあると思うが、消費税率アップが不可避な財政状況だとすれば、高額所得者の税率アップは、社会的公正の確保のためにも不可欠な前提だと思う
 高額所得者が海外に逃げるといった問題点はあるだろうが、これは、制度の整備により相当程度回避できる話ではないのか。また、「税率が高過ぎると努力が報われない」という観点もあり得るだろうが、高額所得を社会的に是認して、当然の権利として保護するかどうかは政策判断の問題でもあり、所得は「本人の努力や能力だけの産物ではなく、環境や幸運が生み出した面もある」と考えることも十分可能なのではないか。いずれにせよ、この会長発言に惑わされることなく、掘り下げた議論を期待したい。