自作10首とスタートはじめの雑感

 題詠100首の催しに参加して、ぼちぼち走りはじめた。先日も書いたように、いったんブログに入れて投稿したものを消しているので、時折纏めて、自作を掲載しようと思っている。今日はその第1回、お題10までの自作を載せる。


001:風  水辺には苔のむしたる石積みて貴船川床(きふね・かわどこ)風の冷たき
002:指  採血に我が手を取りし看護婦の指白くして爪の小さき
003:手紙  急がざる手紙にあれどこの夏の暑さを惜しみ午後の道行く
004:キッチン  建て替えしダイニングキッチンは南向き日差しを受けつつパン食いており
005:並  本郷の古き家並みを歩みおれば銭湯帰りの人と行き会う
006:自転車  買い物に出ていし妻が帰るらし自転車置く音書斎に聞こゆ
007:揺  山男になりたる如き心地して高原列車の午後を揺られる
008:親  年末の喪中が親の世代から仲間の世代に次第に移る
009:椅子  「春だね」と言いつつ客の入り来ぬ床屋の椅子にまどろみおれば
010:桜  うら若きジーパンの娘(こ)が大胡座(おおあぐら)かいて桜の樹の下にあり

 
 ついでに、雑感を少し書いておこう。
 今回は、地名シリーズにしようかといったんは思ったのだが、考えてみれば、それにはムリがある。作って作れないわけではないとは思うが、もともと私は、自然流、成り行き派である。したがって、去年も書いたように、題詠で頭の中で作り上げたものは、「自分の実子」ではなく、「後妻の連れ子」のような感覚を否定し切れない。加えて「地名」という制約を課すると、デッチアゲという傾向がいよいよ強くなって来るような気もする。そうなると「後妻の連れ子の恋人」にまでなってしまいそうで、成り行き派たる私にはどうも馴染まないような気がする。そんな理由で、その計画は2首目にして早くも放棄した。
 去年は、100首のうち、未公表の在庫品が50首くらいを占めたのだが、今年どうするかには、まだ迷いがある。しかし、本来の題詠の趣旨に沿うのかどうかは別として、在庫品を峻拒する理由もないような気がするので、その点は、あまり神経質にならずに行こうかと思っている。
 去年ははじめてということもあり、速いペースで走って、8位でゴールインした。しかし速ければ良いというものでもないだろうから、今年はもう少しスローペースで行こうかと思っている。
 自分の投稿に先立って、ほかの方の作品を読むかどうかにも迷いがある。去年は、原則として、ゴールインするまでは他人の作品は読まないのを原則としたのだが、今年もその流儀で行こうかと思っている。もう少し具体的に言えば、自分がまだ投稿していない題については、主宰者のブログを見ないようにしようと思っている。この点はいろんな考え方があるのだろうが、ほかの方の作品を読めば、「剽窃」ではないにせよ、「なるほど、そういう捉え方もあったのか」という類のヒントになるケースもありそうなので、この点は、引き続き禁欲的に行こうという趣旨である。
 
 関係者の方は御存じのように、今年から投稿方法が変わった。それだけに、投稿方法がかなりややこしくなったことは事実だ。去年なら、主宰者のサイトに短歌を順番に入れればそれだけでOKだったのだが、今年は、次のような手順を踏まなければならない。①自分のサイトにログインし、短歌1首を入れてログアウトする。②主宰者のサイトのトラックバックのURLを、短歌を入れた自分のブログにコピーする。③それを投稿する。それに加えて、私の場合、一つの短歌がブログ1日分を占めるのも不本意なので、④私のブログからその短歌を削除する・・・・そんな手順を踏んでいるので、投稿に掛かる手間は、昨年の数倍になった。私がブログ初心者のせいもあり、もっとうまい手順があるのかも知れないとは思いつつも、とりあえずその手法で行くしかないのかなと思っている。もっとも、今年の方式は主宰者の方の手間を省くのにはかなり寄与しているようなので、投稿者の手間が増える程度のことは当然甘受しなければならないことだとは思っている。
 
 去年は、独断と偏見に基づく「秀歌選」を時折ブログに載せ、最後には勝手な「百人一首」を作らせて頂いた。結構楽しみにして下さった方もおられるようだし、ブログにコメントを下さった方もおられるので、今年も実行しようと思っている。ただ、去年は「過去ログ」という適当な単位があったのだが、今年は題別のそれぞれのコラムが日毎に変わって行くので、そのフォローは去年ほど単純ではない。したがって、最後には纏まるにしても、途中段階では、「どの題のどこまでの秀歌選なのか」ということがやや曖昧なままの秀歌選になってしまうのかも知れない。なるべくその点は判りやすいように工夫しようとは思っているが、現段階では確たる見通しは立っていない。まあ何とかなるだろうと思ってはいるが・・・・。
 

 以上のような感想を持ちつつ、ぼちぼち走りはじめたところである。
 関係者の皆様、今年も何分よろしくお願い申し上げます。(3月4日記)