自作20首(11〜30)

題詠100首 11〜30

011:からっぽ  題詠の選歌少々して見むとまずは頭をからっぽにする
012:噛  禁煙とその挫折との繰り返し今日は朝からガム噛みていぬ
013:クリーム  シュークリームは靴墨の意と友言いぬ高校時代の晴れし日の午後
014:刻  乗りたればもう用のなき時刻表カバンに入れてバスに寛ぐ
015:秘密  秘密にするわけでもないが言うほどのことでもなくて二階に上がる
016:せせらぎ  せせらぎに触れんばかりに枝伸ばし桜の若葉日を浴びており
017:医  次々に詰めしガーゼを取り出して医者の手付きの手品師に似る
018:スカート  男子(おのこ)には女神礼賛の残滓ありてスカートはその象徴ならむ
019:雨  梅雨寒の風に吹かれて揺れている落選候補のポスター空し
020:信号  郊外に住みいる友は信号を踏切などと言うがおかしき
021:美  タクシーの着けばひとときざわめける岬の果ての美術館前
022:レントゲン  日の高き盛り場過ぎし物蔭にレントゲン車の停まっておりぬ
023:結  妻と来て門松紐で結わえおり改築中の我が家の門に
024:牛乳  牛乳は冷たきが良し歯に少し沁みるのもまた朝にふさわし
025:とんぼ  幼き日友と作りし竹とんぼ我がものだけはうまく飛ばざり
026:垂  芽吹きてよりまだ日も浅き朝にして並木の若葉重たげに垂る
027:嘘  鮮やかに色づきしこと嘘のごと銀杏裸木(はだかぎ)天指して立つ
028:おたく  市町村人口動向気になるは我も一種のおたくなるべし
029:草  雑草の繁るに任せし畑多きふるさとの島バス走り行く
030:政治  黒を白と言いくるめるが政治家の資質なるとは思わざりしを

 
 題詠100首一応完成したのだが、見直してみたいものもあり、また、20首投稿すると結構手間ひまもかかり、ちょっとくたびれもしたので、今日はこの辺で終わりにしておきたい。「選歌集」を作っているのだが、先日も書いたように、まだ自作を投稿していないお題の歌は読まないようにしているので、これでやっと、少し先のお題まで選歌できるようになった。