自作20首(31〜50)

題詠100首(31〜50)


031:寂  ゆえ知らず我を寂しと思う夜は常より早き寝床に入る
032:上海  上海に生まれしという人もいて古き仲間の宴続きぬ
033:鍵  しなやかな指の動きが鍵盤(キー)手繰り異なる色の音紡ぎ出す
034:シャンプー  シャンプーの容器の文字の小さければ老眼鏡を掛けて湯に入る
035:株  年輪もおぼろになりし切り株が路傍にありて日を浴びており
036:組  足組みて駅のベンチで目をつぶる女もありて夜の更けて行く
037:花びら  花びらの落ち重なりて色づける道の辺にいま春の風吹く
038:灯  オレンジの街灯坂を照らしいて越中八尾(やつお)は人波ばかり
039:乙女  永遠の乙女と見ゆる恥じらいを浮かべて弥勒は微笑みており
040:道  図書館にいつもと違う道行けば子らたむろせる駄菓子屋のあり
041:こだま  「のぞみ」より「こだま」が良いと孫ら言いて空いた列車に座席占めおり
042:豆  寒き夜を改築中の家に来て小さな声で豆まきをする
043:曲線  滑らかなアールヌボーの曲線美建築画集をしばし見ていぬ
044:飛  子がたてる飛沫(しぶき)を避けて身をよじる若き母親の水着小さき
045:コピー パソコンの「コピー」と「削除」を間違えてうろたえるのも良くあることで
046:凍  凍り鬼のルールなかなか呑み込めず孫に追われる公園の午後
047:辞書  久々に辞書広げれば若き日にラインを引きし単語のありぬ
048:アイドル  孫たちのお別れ会のビデオ見ればアイドルめきし幼なもおりぬ
049:戦争  戦争を知る世代なる仲間らと古き歌など歌いて別る
050:萌  山間(やまあい)に列車入ればそれぞれに異なる色の若葉が萌える

 
やっと折り返し点まで来た。実は一応100首完成しているので、今夜はもう少し投稿しようかと思っていたのだが、20首入れるのに1時間半ほど掛かり、結構くたびれたし夜も更けた。私のパソコンは、どうも応答が遅いような気もするのだが、それ以上に私の操作技術拙劣のゆえかとも思う。
 50首を区切りに、主宰者のサイトを念のために再度チェックしてみたら、私の008の歌が008と009の双方の欄に入っていた。操作ミスなのか錯覚なのか、私にも判らないが、消すこともできない。ともあれ、これで私の投稿済みの題がずっと増えたので、選歌の材料にはこと欠かないことになった(注)。もっとも、選歌の操作も結構手間ひまが掛かるので、どこまで捗るかは疑問ではあるが・・・。
注:ほかの方の歌からヒントを得るのも本意ではないので、未投稿の題の作品は見ないことにしている。