野党の責務を放棄しないで(朝日新聞「声」)

 このところ題詠百首の選歌ばかりが続いた。暫くぶりに硬派(?)で行こうと思う。実は、今日4月4日の朝日新聞朝刊東京版の「声」に載った投稿である。載ったものは、細かい点で修正もあり、タイトルも上記のように変わっているが、内容的には大差ないものであり、以下には私が投稿した原文を載せることにしたい。
 正直に言って、民主党に全面の信服を置いているわけではないし、護憲各党や与党良識派に期待するところも大きいのだが、ここではとりあえず民主党に対してエールを送ってみた積りである。少々「なまいき」な語り口になっているかも知れないが、年齢に免じてご容赦頂きたい。


民主党総退陣に思う   無職 西中眞二郎  (東京都練馬区) 68歳

  民主党の執行部が総退陣するという。偽メール問題に関する詰めの甘さや事後処理の拙劣さからすれば、当然の帰結かも知れない。しかし、国民生活に関し、どれだけの実害を与えたのかということになると、ニュースバリューが大きかった割りには、本質的な問題ではなかったような気がする。
  他方、堀江氏に対して自民党がエールを送っていたという歴然たる事実は消えるものではないし、各種格差の拡大、アジア外交の停滞、偽装問題等々、国民生活に直結する諸問題は、野党の追及不十分のままに、依然として未解決、未解明のまま残されている。いつの間にか自民党が善玉になってしまい、民主党が悪玉になってしまったような印象すら受けないでもないが、ことの本質は、決してそのようなものではないはずである。
  さまざまな課題を放置している政府与党に対し、国民の立場に立って厳しい追及を重ねることこそ、民主党をはじめとする野党が国民の負託に応える道だと思う。民主党が死に体になることなく、また、新しい執行部の誕生を待つまでもなく、野党本来の責務を貫徹されることを期待したい。ことの本質を見誤ってはならない。