お盆の東京停電

 今日午前、東京で大規模な停電があった。直接の原因は、江戸川方面で高圧送電線が切れたことにあったようだ。それ自体は、常にあり得る話であり、さして問題にするにも当たるまい。問題は、それがなぜ大規模な範囲に波及し、復旧に結構時間が掛かったという点にあると思う。
 私が現在持っている情報は、今日の夕刊までの話だから、これからいろいろ問題提起がされるのだと思うが、現在の時点で判っていることによれば、事故の結果、保護装置が作動し、各地の変電所での送電がストップされて停電範囲が拡大し、その立ち上げに時間が掛かったということのようだ。
 素人考えで単純化して言えば、事故の拡大を防ぐための保護装置の作動が、一時的に停電の拡大をもたらしたということではないかと思う。大都市の場合、停電は予想外の被害をもたらす可能性もあり、今回のような事態は、何が何でも避けなければならない事柄だと思う。当事者の善意や誠意を疑うわけではないが、事故に対する備えが果たして万全であったのかどうかには、疑問の余地なしとしない。一応の備えはあったと見て良いのだろうし、「2時間」で復旧したことを評価する見方もあるのかも知れないが、そこまで行かないうちに対応できるような体制は、果たして不可能なのだろうか。
 今回の事故に関しては、おそらくコンピューターの役割が大きかったのではないかと思う。コンピューターの判断により、事故の波及による更なる事故の大規模化を防いだという面もあるのだと思うし、また別回線を使っての送電の再開にも寄与したのだと思う。が、同時に、コンピューターの判断の結果、一時的ではあれ影響範囲が拡大したという面もあったのではないか。そのこと自体は、より悪い事態を避けるためのやむを得ない方向だったのかも知れないが、現在の技術水準からすれば、コンピューターをもっとお利口にして、停電の拡大自体を防ぐような体制も工夫する余地があるのではないか。
 いずれにせよ、コストとの関連の問題でもある。多少の停電は我慢するのか、それとも多少電力料金が上がっても良いから、より良い供給体制の整備を求めるのか。今回の停電は、第一義的には電力会社をはじめとする関係者の問題だが、最終的には消費者の価値判断の問題にも絡んで来るのではないかという気がしている。(8月14日、午後4時20分記)

根がせっかちなもので、昨日慌てて感想を書いたのだが、少しピント外れの面もあったのかも知れない。システムの問題以前に、予備送電線が同じ鉄塔に載っていたため、それも併せて傷ついたという初歩的な問題が当初の原因だったようだ。予備線が同じ鉄塔に載っていたのでは、「予備」の意味をなさないケースも大いにあり得る話で、「想定外」の事態だとは言えないだろう。これこそコストとからむ話ではあるが、これではトラブルに対して万全を期したとは言えないのではないか。(8月15日追記)