安倍さんと自民党に呆れる

 なぜ安倍さんなのかという疑問を先日書いたが、早くもわけの判らない安倍発言が続出している。なお、その内容は私の記憶によるものなので、細かく見れば正確ではないかも知れない。
 「歴史認識と政治を絡めるのはよこしまな人だ」との趣旨の発言があったようだが、何を言おうとしているのかさっぱり判らない。おそらく、体質的にはタカである安倍さんが、タカ色をむき出しにすることは賢明でないという判断から言ったセリフかとも思うが、それにしても、理解に苦しむ発言である。あるいは、「よこしま」という言葉の意味を御存じないのかも知れない。
 「戦争指導者と一般国民を分けて考えるという中国の考えは、日本人には馴染まない」との趣旨の発言もあったようだが、安倍さんがどう考えるかは別として、「日本人には馴染まない」というのは、独断に過ぎるだろう。また、ことの是非は別としても、なぜこのような発言をする必要があるのか、全く理解できない。中国にすれば、日本の戦争責任は追及しつつ、国民相互の友好関係は保ちたいという、ある意味では我が国の逃げ道を用意してくれている「好意的」な見解だと思うし、クールに見れば、中国の国民感情にも配慮した苦肉の策とも言えるだろう。
 それを否定するということは、一体どういうことなのだろう。二分が適当でないのだとすれば、論理的には、答は①国民全体も戦争責任を負っている、②戦争責任は存在しない――という二つしかないだろう。②は歴史を全く無視した答だし、①は中国のせっかくの「好意」や「妥協」を無視した答である。まさか、あらためて国民全体の戦争責任を反省しようという「自虐史観」を唱えようというわけでもあるまい。
 その発言の内容の是非はさておき、なぜ、相手の立場や好意を無視し、我が国の立場を悪くし兼ねないこのような発言をする必要があるのか、全く判らない。私などの思いもよらない深い思慮がおありなら別だが、どう考えてみても「この人は何も判っていないし、ものごとを考える力のない人だな」と思わざるを得ない。
 安倍さんの個人攻撃をしようという積りはない。安倍さんは所詮その程度のレベルの人であり、かつがれて分不相応なポストに就こうとしているのが安倍さんの「不幸」だと思う。それにつけても、その程度の安倍さんに人気があるという世論というものも判らないし、その安倍さんに雪崩を打っている自民党の議員諸公も情けない存在である。いっそのこと「平成大政翼賛会」と党名を変更したらどうかと思う。
 唯一の救いは、加藤紘一さんが比較的筋の通った発言をされていること、また総裁候補の中では谷垣さんの発言が比較的まともなことくらいだろうが、党内でどの程度の影響力を発揮できるのか、かなり心許ない話ではある。
 小泉さんよりもっとレベルの低い総理に、しばらくお付合いしなければならないのかと思うと、怒る以前に悲しくなる昨今である。安倍さんの「不幸」だけならどうでも良いが、それが国民の「不幸」につながるのだから困ったものだ。