題詠百首・私の投稿（０５１〜０６０）

　またセッカチが頭を擡げて来て、６０まで投稿。毎日１０首ずつ投稿するのも悪いペースではないのかも知れない。

051：宙　宙天に赤き星一つ輝くを火星ならむと湯船に浸る
052：あこがれ　あこがれといらだちあまた抱えいし青春の日は遠くなりたり
053：爪　地に触るるときにパサリと音立てて我が爪先に銀杏（ぎんなん）の落つ
054：電車　金曜の更けし電車に乗りたれば乗客なべて声の大きく
055：労　手放すと決めし車に手を添えて御苦労さまと呟いている
056：タオル　バスタオル上手に巻いて着替える娘（こ）露天の風呂の夜は更け行く
057：空気　若きらの醸す空気に馴染めぬまま黙し立ちいるパーティーの席
058：鐘　「鐘供養」の文字のいささか稚拙にて踊り華やぐ娘道成寺
059：ひらがな　ひらがなの市名町名増えたれば賀状の宛名筆に馴染まず
060：キス　「また逢う日まで」ガラス戸越しのキスシーン久我も岡田もまだ若かりき