題詠百首・私の投稿(071〜090)

 このブログの他の記事がお休みの日に、10首ずつ投稿する積りだったのだが、はじめたらエンジンが掛かってしまって、90番まで行ってしまった。これにてリーチ、残りは明日にでも投稿して、「完走」ということになるのだろう。じっくり見直そうとも思っていたのだが、ついつい宿題が残っているような気にもなるので、結局ろくに見直しもせずに答案を提出してしまうのが若いころからの通弊だ。


071:鉄 地下鉄の通路を行けば天井のことさら低く思われる朝
072:リモコン リモコンでチャンネル変えいる我らこそテレビに操作されているやも知れず
073:像 予定せし時間となれば弥勒像いま一度見て出口に向かう
074:英語 雛の日は試験期ならむ地下鉄の生徒ら英語の辞書を引きおり
075:鳥 高梁川の水面(みなも)激しくきらめきて鴨らしき鳥群れて泳げり
076:まぶた ゆえもなく眠れぬ夜の午前四時まぶた閉じるにやや疲れたり
077:写真 「はいチーズ」と月並みなこと口にして写真撮りいる娘(こ)の目の優し
078:経 墓遷す読経の声の冴え渡りふるさとの山青葉が覆う
079:塔 たそがれの五重の塔の影長く水煙踏むを避けて歩みぬ
080:富士 赤富士の赤にも似たる色持ちて朝晴れの富士吃立したり
081:露 菊坂の古き家並みの石畳露地の奥には一葉旧居
082:サイレン サイレンの鳴れば麦刈る手を休め弁当食いしこともありたり
083:筒 封筒の中身忘れて覗き見て「ああそうだったか」とまた思いいぬ
084:退屈 所詮我が退屈しのぎの産物と今となっては口には出せず
085:きざし 梅満開杏も既に蕾持ちて二月下旬は春のきざしす
086:石 敷石はそれぞれ異なる色持ちて桂離宮の道のやさしき
087:テープ 琴で弾く村の鍛冶屋のテープ流れ物産館に日の差しており
088:暗 会場の灯り暗ければキャンドル点ける新婦の顔の彫り深く見ゆ
089:こころ 憂きことのこころにあれど晴れし午後の安房の日差しをまず楽しまむ
090:質問 質問のないのも物足りないままに定例会議ことなく終わる