懇談会は家庭教師の会(朝日新聞「声」)

 今日の朝日新聞東京本社版の「声」に掲載されたものを転載する。


有識者」とは呼べぬ懇談会
              無職 西中眞二郎(東京都練馬区 69歳)

 集団的自衛権の懇談会が来月発足する。行使を認める推進派の人ばかり集め、憲法問題であるのに法律の専門家らしき人が13人中2人しか入っていない会では、とても「有識者会議」と言える代物ではない。
 もっとも「賛否が割れるような人選はしない」ということが暗黙の了解だったというから、意図は見えすいている。公正な立場で結論を探る審議会などではなく、首相の都合のいい結論を導くための、いわば「安倍さんに知恵を付けるための、限られた有識者による家庭教師の会」だろう。
 その意味では、一見公正を装う各種の御用会議より罪が軽い会とも言えるが、この種の会に税金が使われることには、別の面で問題がある。
 議論の内容や結論はいずれ示されるだろうが、その際、国民は「これが有識者の見解」というプロパガンダに乗せられることのないよう、そして権威があると錯覚することのないよう、「初めから結論の見えている、安倍さんの私的な何の権威もない勉強会」という原点を忘れずに、対応していくことが肝要だと思う。

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 26日の記事、27日の社説に触発されて、27日午前にファックスしたら、早速同日の夕刻編集部から反応あり、29日に掲載されたものである。この3年余に8回ほど同欄に掲載されたことがあるのだが、これまでの例に比べて、今回の反応が早かったのに少々驚いた。
 27日の朝日社説は、「もっと公正なものにすべきだ」という論旨だったのだが、私の投稿はこれを逆手にとって、「取るに足りないものだ」ということを強調するという趣旨のものだ。投稿した原稿は編集段階で少し修正されているが、ほとんどが細かい直しなので、ここでは、掲載されたものをそのまま転載した。
 なお、投稿した題は「懇談会は家庭教師の会」という皮肉をこめた題であり、電話で応答した編集者のコメントも「家庭教師」は面白いというものだったが、最終版では至って真面目な題に直されていた。それはそれで別段の差し支えはないが・・・。