国勢調査から見た外国人

 以前にも書いたように、私は国勢調査マニアであり、国勢調査に基づく各種基本データの整理や分析などについては、このブログにも何度か書いた。その後、派生的なデータを折に触れて整理しているのだが、外国人関係のデータが一応まとまったので、その骨子を御披露しておきたい。
なお、これまた以前にも書いたように、我が国における外国人の扱い、入管体制などについては、現状はあまりにも閉鎖的であり、「治安対策」という視点が先行し過ぎていると思うが、そのことは一応度外視して、ここでは、基本的なデータだけをお示しすることにしたい。

 
それでは、平成17年調査の外国人のデータをざっと見ておこう。なお、外交官とその家族、外国軍隊の軍人、軍属とその家族は、国勢調査の対象外なので、その人数は含まれていない。
 
 平成17年10月1日現在の在日外国人の数は、1,555,505人であり、我が国総人口の1.21%に当たる。前回の12年調査の結果が、1,310,545人、総人口に対する比率が1.03%と、はじめて1%を超えたのだが、それに比して18.7%増というかなり大きな増加である。(いずれも四捨五入。以下も同じ。)
 国籍別に見ると、<韓国・朝鮮>46.7万人、<中国>34.7万人、<ブラジル>21.4万人、<フィリピン>12.4万人、以下人数がかなり減って<ペルー>4.0万人、<アメリカ>3.7万人、<タイ>2.6万人、<ベトナム>2.1万人、<インドネシア>1.8万人、<イギリス>1.0万人となり、<その他>が25.2万人で中国に次ぐ。なお、調査票が「以上の10ヶ国及びその他」という設計になっているので、「その他」の国の中で、第10位のイギリスあたりより人口の多い国が誕生しているかも知れない。また、「中国」という分類の中には、「台湾」も含まれているようである。
 以上の数字は、我々の感覚ともかなり合致している数字だが、このうち、同じ外国人と言っても、<韓国・朝鮮>とその他の外国人とには大きな違いがある。例えば、65歳以上の高齢者が占める比率は、他の多くの外国人が0〜2%台であるのに比べ、<韓国・朝鮮>は15.2%という高率であり、日本人の数字とあまり違わない数字になっている。言い換えれば、他の外国人が勤労者や学生といった労働力年齢の人口が多いのに対し、<韓国・朝鮮>は、古くから我が国に定住している人が多く、日本人とほとんど違わない年齢構成になっているということが言えそうである。
 
 全国的に性別を見ると、全体で性比(男性/女性の比率)が87.7%と女性の方がやや多い数字となっているが、これを国別に見ると、<イギリス>247.1<インドネシア>205.2<アメリカ>178.2<その他>154.5<ブラジル>121.6<ペルー>112.1<ベトナム>102.8、ここまでが男性優位であり、女性の方が多い国が、<韓国・朝鮮>84.0<中国>66.6<タイ>32.4<フィリピン>23.5と続く。フィリピンの場合女性が男性の4倍以上、タイの場合3倍以上在住しているわけであり、同じアセアン諸国とは言っても、インドネシアとは大きな違いがある。

 
それでは外国人の数を地域別に見るとどうか。絶対数で見れば、東京都24.8万人、大阪府17.6万人、愛知県15.0万人、神奈川県11.5万人、兵庫県8.6万人、埼玉県8.0万人と、総人口の傾向と合致している。しかし、総人口に対する外国人比率を見ると、愛知県2.07%、大阪府1.99%、東京都1.97%、静岡県1.87%、三重県1.83%と、かなりの違いを見せて来る。
もう少し細かく見ると、愛知県の場合、自動車や電機工業の従事者が多い<ブラジル>が32.5%を占めているのに対し、大阪府は<韓国・朝鮮>が65.0%と、<韓国・朝鮮>に著しく傾斜している。
 
 このように、一口に外国人と言っても、その内容、性格等、地域によって大きな違いがあるが、一番人数の多い外国人別に都道府県を区分してみよう。
<韓国・朝鮮>京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県岡山県広島県山口県、福岡県 <中国>北海道、青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、新潟県、石川県、福井県鳥取県島根県徳島県香川県愛媛県高知県佐賀県長崎県熊本県大分県、宮崎県、鹿児島県 <ブラジル>栃木県、群馬県富山県山梨県、長野県、岐阜県静岡県、愛知県、三重県滋賀県 <アメリカ>沖縄県 <その他>東京都。
こうして見ると、<中国>は全国各地に分布しており、<韓国・朝鮮>は近畿を中心とする西日本が多く、<ブラジル>は上述した製造業が雇用している地域に集中しているという傾向が窺える。

 更に細かく、市町村単位で見ると、外国人比率第1位は、群馬県大泉町の14.65%、次いで、岐阜県美濃加茂市の7.07%、長野県箕輪町6.79%、滋賀県愛知川町6.58%、山梨県田富町6.20%、静岡県菊川市6.16%と続く(市町村の領域は、いずれも17・10・1現在)。いずれも自動車や電機工業に日系ブラジル人を雇用している地域であり、<ブラジル>の比率は60〜70%台を占め、在住ブラジル人が特定の地域に集中していることを示している。
 なお、政令指定都市の中の区まで細分してみると、大阪市生野区の外国人比率は21.15%に達し、うち93.7%が<韓国・朝鮮>である。