性比と年齢別人口(市町村単位)

 先日、平成17年の国勢調査の数字から、性比(男性/女性の比率)と年齢別人口のことを、全国と県単位に大づかみに書いた。今日は、その各論として、市町村単位に細分化したデータをお示ししよう。全国の性比は95.31と女性の方が少し多く、14歳までの「こども人口」は全体の13.7%、65歳以上の「高齢者人口」は全体の20.1%という結果になっている―――というのが、先日のサワリのサワリだった。

 
 まず性比を見よう。全国の市町村で性比が一番高いのが東京都の青ヶ島村で、174.4%である。つまり、女性100人に対して、男性が174人いるという数字だ。同村は伊豆七島の南端の孤島で、総人口わずか214人という小さな村である。全国で人口の一番少ない村は愛知県の富山村の208人、これに次ぐ小さな村だったのだが、富山村はその後豊根村と合併したので、おそらく暫くの間は青ヶ島村が全国最小の村の地位を保持するのではないかと思う。これに次ぐのが同じ東京都の小笠原村の163.3、沖縄県渡名喜村北大東村南大東村、北海道の占冠村と続く。占冠村を除いては、いずれも孤島の村であり、環境の厳しさから仕事を持つ男性が単身で居住しているという面が大きいのだと思う。因みに、青ヶ島村小笠原村ともに30〜50台の壮年の男性の数が多いことも、そのことを物語っているのだろう。
 逆に性比が低い村の第1位は、鹿児島県大浦町の77.5、長崎県宇久町山口県錦町、和歌山県太地町、鹿児島県笠沙町三重県紀和町と80%前後で続く。概して言えば、比較的小規模な過疎の町である。なお、政令指定都市の「区」単位まで細分化して見ると、京都市東山区の性比は73.1と、大浦町をかなり引き離して全国最低となる。東山区は有名な祇園のある地域であり、まさに女の街ということを物語っているのだろう。
 ところで、前回の平成12年調査では、山口県大島郡東和町が73.6で全国第1位だった。また、後で触れる65歳以上の高齢化率でも同町が50.6%で全国第1位だった。実は同町は、私のふるさとである。瀬戸内海の周防大島の東端にある町なのだが、最近の合併でこの島の4町が合併して周防大島町となったので、東和町自体は統計の表舞台から姿を消してしまった。現在私は「東京東和町人会」の会長を仰せつかっているのだが、全国第1位という名誉ある(?)地位から我がふるさとが消えてしまったことは、いささか残念なような気がしないでもない。
 以上は、すべての市町村を見た結果なのだが、市に限って見ると、第1位はトヨタ自動車のお膝元である愛知県豊田市の112.6であり、自動車産業と中心とした男性の比率が高いことを示している。逆に低いのは、北海道歌志内市,鹿児島県加世田市が80%をわずかに上回るレベルにある。

 
 次に高齢化率である。65歳以上の高齢者の比率が一番高いのは、群馬県南牧村の53.4%、これに三重県紀和町福島県昭和村、山梨県芦川村福島県金山町、高知県大豊町が50%台で続く。逆に低いのは、東京都小笠原村の8.5%を筆頭に、ディズニーランドのある千葉県浦安市の9.1%、愛知県の三好町長久手町が10%余で続く。小笠原村を別とすれば、概して成長の著しい大都市近郊の小都市である。
 これまた市だけを見ると、財政再建問題で話題になった北海道の夕張市が39.7%と最高であり、同じ北海道の旧産炭地である三笠市大分県山間部の竹田市が38%台で続く。低い方では、前述の浦安市に続くのが埼玉県和光市戸田市茨城県守谷市滋賀県栗東市といったところである。

 
 続いて、15歳以下のこどもの率を見てみよう。第1位は富山県舟橋村の22.7%、以下多良間村読谷村沖縄市北大東村豊見城市浦添市北谷町沖縄県の市町村が20%台で続く。舟橋村は、富山市ベッドタウンとして成長著しい村であり、沖縄県は、県全体として見ても、先日も書いたように全国で断然第1位の「こども率」の県である。
 逆に低いのは、群馬県南牧村5.2%、これに東京都三宅村山梨県芦川村群馬県神流町、長野県天龍村、栃木県足尾町と5〜6%台が続く。噴火による離島と帰島という特殊なケースである三宅村を例外とすれば、いずれも山間部の過疎の町村である。低くなったとは言っても全国では14%近いこどもの率が、これらの町村ではその半分もないという状態である。なお、これまた市だけに限って見ると、北海道の夕張市7.9%を筆頭に、同じ北海道の旧産炭地の三笠市歌志内市が8%台で続き、その後に静岡県の湯の町熱海市、千葉県勝浦市が9%台で続く。

 
 最後に、こどもの数を高齢者の数で割った「幼/老比率」を見ると、全国の68.3%に対し、最高が愛知県三好町の185.0%、千葉県浦安市、東京都小笠原村宮城県富谷町と続き、その後に浦添市西原町豊見城市沖縄県の市や町が160%前後で続く。
 逆に低いのが群馬県南牧村9.7%を筆頭に、山梨県芦川村が11%強、群馬県神流町福島県昭和村が12%台で続く。これらの町村は、お年寄りの1割前後しかこどもがいないということになるわけである。これまた市に限って見ると、今日のこの欄でお馴染みになった夕張市の19.8%を筆頭に、北海道の三笠市歌志内市20%台の前半で続く。

 
 こうして見ると、一口に高齢化と言っても、その中身や程度が地域によって大きな違いがあるということを改めて痛感するところだ。

 なお、先日「データの組み換えをして、市町村単位に細分化するには相当時間が掛かるだろう」と書いたのだが、その後うまい方法を思い付いたので、結構短期間で作表・計算をすることができた。そうは言っても相当手間ひまの掛かる作業ではあったが・・・。