結婚しない人、結婚の遅い人(国勢調査資料から)

 最近、国勢調査の年齢別人口や性比を調べていた関連で、結婚関連の数字を知りたくなり、少しデータに当たってみた。その概略を御披露しよう。

 
 15歳以上の人の配偶関係を見ると、全体で以下のようになっている。なお、配偶関係が判らなかった人もいるので、全体の合計は100%にはなっていない。

         未婚     配偶者あり     死別       離別
  男性    31.4%   60.8%    2.9%     3.3%
  女性    23.2%   57.0%   13.5%     5.2%

 少しコメントしよう。15歳以上という若年層を含む広い範囲のデータだから、当然のことながら未婚の人の率がかなり高い。男性の未婚率が女性のそれよりかなり高いのは、(1)男性の方が結婚年齢が高いから、若年層では男性の未婚率の方が高い (2)年をとるとともに未婚率は近付いて来るはずだが、女性の方が寿命が長いので、既婚の高齢者が男性より多い(3)中年までは男性の数の方が多い――ここまではまず間違いのない理由だと思うが、そのほかに、(4)後で触れる再婚の態様の男女差ということも言えるのではないか。
 女性の方が「死別」の率が高いのは、女性の方が長生きするということからの当然の結果だろう。「離別」は当然のことながら男女同数が基本であり、男女の差があるのは一見不可解に見えるが、これも女性の方が長寿のため、離別した男性は既にこの世にいないのに対し、離別した女性はまだ健在だというケースが多いことが最大の理由だろうと思う。

 以上の数字は、15歳以上という広い範囲の数字なので、われわれの実感からはかなり遠いものだと思うが、未婚者の率を5歳刻みのデータで見ると

           男性           女性
  20〜24歳   93.4%    88.7%
  25〜29歳   71.4%    59.0%
  30〜34歳   47.1%    32.0%
  35〜39歳   30.0%    18.4%
  40〜44歳   22.0%    12.1%
  45〜49歳   17.1%     8.2%
  50〜54歳   14.0%     6.1%
  55〜59歳    9.8%     5.2%
 
という結果になっている。こうして見ると、30代でも未婚者の率はかなり高く、未婚者の率が1桁になるのは、男性が55〜59歳、女性が45〜49歳ということになり、昨今の晩婚化傾向を示している。もっともこれは平成17年10月1日という横断面で切った数字だから、これからの時間の経過というタテの流れとは別の話であり、例えば、現在未婚率が71%である25〜29歳の男性が、10年後に35〜39歳になったときに未婚率が30%に下がるのかどうかは保証の限りではない。
 女性の未婚率が男性に比較して低いのはなぜなのか。若い年齢層については、女性の方が結婚が早いからというのが最大の理由だろうが、中年以降の年齢層でも女性の方が未婚率が低いのはなぜなのだろう。まず思いつくのは、中年までは男性の方が人数が多いということだが、これだけでは未婚率の差の大きさの説明には不十分なような気がする。
 それに加えて、再婚の形態ということも言えるのではないか。例えば、配偶者と死別又は離別した男性が未婚の女性と再婚した場合、男性の未婚者の数は変わらないが、女性の未婚者の数は減って来る。当然のことながら、未婚の男性と既婚の女性が再婚した場合には逆の結果になるわけだが、おそらく前者のケースの方が多いということが言えるのではあるまいか。言い換えれば、同じバツイチでも男性の方が再婚しやすいし、その場合に未婚の女性と結婚するケースが比較的多いということになるのかも知れない。これは全くの想像であり、ほかにも理由があるのかも知れないが、この数字から思いつくのは以上のようなところである。


 なお、未婚者の率を東京特別区について調べてみたら、全国の数字に比べて、全体で男性で6.9ポイント、女性で8.0ポイント高い。この傾向は、どの年齢層を見ても概ね同じであり、全国と比較して、東京には「結婚しない人」が多いということが言えそうである。また年齢別に見ると、例えば30〜34歳の場合、東京特別区の未婚率は、男性で全国より12.4ポイント高い59.4%、女性で13.9ポイント高い45.8%という結果になっている。全国の場合以上に東京特別区の晩婚化が顕著なわけであり、30〜34歳の男性の60%弱、女性の45%強が未婚者だということになる。まだ個別のデータには当たっていないが、大都市の場合、おそらく東京特別区と同じような傾向があるのではあるまいか。