百人一首・あとの祭

      題詠百首・百人一首「あとの祭」

 
 昨日11月3日(文化の日)のブログに、「題詠百首・百人一首」を載せた。結構苦労もしたが、楽しい作業でもあった。皆様へのお詫びや釈明などは、その前日2日のブログに書いているので、その繰返しは避けて、今日は、選定の終わったところでの感想や補足などを書くことにしたい。なお、去年書いたもの(昨年11月4日付け「あとの祭」)の焼き直しの部分も多いことを、まずお断りしておきたい。
  
 出来上がったものを眺めて最初に抱いた感想は、この題詠百首のレベルの高さである。選定の適・不適は別として、こうして眺めてみると、いずれも高いレベルの作品であり、しかも当然のことながらそれぞれの人の持ち味が出ており、どこに出しても恥ずかしくない作品集だという気がしている。その感想を持てることが、百人一首作成の最大の喜びと言っても良いのかも知れない。
 
 作成の過程について、少し補足的な御説明をしておこう。


 百人一首の前提として、選歌集を67回にわたってブログに掲載した。まずその結果から御報告しよう。選歌集に掲載した作品数は、全投稿数18,361首(注:主宰者ブログのトラックバックとして記載された件数。二重投稿や誤投稿もあるので、実作品数はこれより数%少ないと思う。)のうち2,999首である。そのうち完走された方136人(後注参照)の作品は2,472首であり、この2,472首を百人一首の選歌の対象とした。(なお、このほかに私の作品も、補欠あるいはDHとして潜り込ませて頂いた。)
 
 2,472首を、題別に見ると、次のような結果になっている。当然のことながら、完走者の投稿数だから、実投稿数は、すべて完走者数と同じ136首のはずである。なお、全投稿数は、当然のことながらはじめの方が多く、後の方ほど少ない(トラックバックの件数レベルで、題1の投稿数321、題100の投稿数144)。

<42>屋根 <40>しあわせ
<39>限 <38>晴、雪 <35>始 <34>誰、ピアノ、話 <33>退屈 <32>すきま、昭和 <31>使、温 <30>、一緒、メトロ、バランス、切
<29>赤、吹、片思い、ためいき <28>スプーン、ニュース、湯、ボタン、海、爪、ひらがな、茶 <27>握、地図、カーテン、像、写真、きざし <26>給、太陽、理想、没、毛糸、模様 <25>週末、玉ねぎ、男、配、階段、鐘、暗 <24>いたずら、寺、トマト、あこがれ、空気、乾杯、ホテル <23>記号、障、約、宙、英語、ベッド <22>、種、酸、仮面、浜、夕立、塔、露、筒、終 <21>スポーツ、国、キス、鉄、経、こころ <20>、電車、論、卒業、鳥
<19>競、化、穴、神、サイレン、石 <18>まぶた、テープ、質問、裏 <17>労、大阪、リモコン <16>富士 <15>タオル、祝、社会 <14>命 <13>杉


 先日も書いたように、選歌集自体全くの私の独断と気紛れの産物なのだが、それを母体とした「百人一首」も、その点では同様である。ただ、なるべくそれぞれの題のベストクラスのものを、またそれぞれの作者のベストクラスのものを選びたいと思い、それなりに苦労もし、私の物差しからすればそこそこの選定はできたと思ってはいるのだが、果たして如何なものか。選ばれなかった方にとってはもとより、選ばれた方にも「自分のベストはこれではない」という御不満は残ると思うが、題と作者のマトリックスという難題に免じて、その点はお許し頂きたい。(なお、ここで「ベスト」という言い方をしたが、当然のことながら、私のその時点での好みから見た「ベスト」という意味でしかないということをお断りしておきたい。)


 先日「予告編」にも書いたように、「題詠100首」の性格上、完走された方136人に絞って選歌した。(注:完走報告のお名前と投稿のお名前が違っている方などもおられたので、完走報告をなさった方と100題目を投稿された方との双方を勘案して判断し、一部推測も加え、「百人一首」ではそれぞれの方のお名前で表示した。)。
 なお、完走者136人のうち、選歌集で採らせて頂いた数2,472首をを作者別にカウントすると、50首以上:2名 40首以上:10名 30首以上:14名 20首以上:25名 15首以上:20名 10首以上:21名  以上合計92名となっている。10首以上選歌させて頂いた方の作品は、原則として選ばせて頂くことにしようと思って作業したのだが、結果としてこの92名の方の作品はすべて採らせて頂き、選者の役得で私の作品も1首入れさせて頂いた上で、残りの7首はその他の完走者の作品から選ばせて頂いた。結果としてその7名の方は、すべて選歌数8首又は9首の方となった。 


 マトリックスにつき、少し補足しよう。それぞれの題と作者からそれぞれ候補作を選び、その組合せを考えて行った。方法としては、一目惚れした作品をまず選び(これは極めて少数)、次いで候補作の少ない方の作品を選ぶという方法で、次第に絞って行った。その結果、候補作の多い方はその方のベストの作品が選ばれず、次善、三善の作品になってしまったケースも多い。この点、選歌数の多い「実力派」の方が割りを食ったという面もありそうである。もっとも、その評価はあくまでも私の主観に基づくものなので、案外作者御自身の評価と合致している場合もあるのかも知れないが・・・。
 一応出来上がった後で、入れなかった作品を見渡してみて、「これは是非入れたいな」と思うものも沢山あるのだが、それを入れると、既に入れたその方の作品を落とすことは当然として、その題のほかの方の作品も落とさなければならない。その種の玉突き状態を繰り返していると収拾がつかなくなり、仮りに何とかなったとしてもどこかに無理が出て、全体として見れば、当初のものより出来の悪い結果になる可能性が大きい。したがって、そのようなフィードバックをしなくても済むように、当初からかなり神経を使いつつ選定して行ったのだが、それにしても素晴らしい「玉」が漏れているケースも結構ある。最後は、目をつぶって妥協せざるを得なかったという点はお許し頂きたい。
 

 選定の準備段階として、選歌集を纏める都度、その作品をパソコンの「エクセル」に入れて整理していたのだが、これは最終段階の労力をかなり省いてくれた。最初の一昨年は普通の「ワード」で整理していたので、最終段階でかなり無駄な作業も必要になったが、昨年から少し智恵が付いて「エクセル」にしたため、題や作者別に整理して見直すのが、随分楽になった。


 以上、甚だ勝手な百人一首であり、独りよがりの感想だが、皆様に多少なりとも御評価頂ければ、まことにありがたいことである。また来年お目にかかれることを楽しみにしている。なお、これでこのブログ、短歌関係はしばらくお休みになるのだと思う。弁護士事務所ありキャバクラありの雑居ビルのようなブログだが、このブログもたまにはお覗き頂ければ幸甚である。それでは皆様、どうかお元気でお過し下さい。


注:後の祭り(インターネットの「大辞林」より)
[1] 祭りの翌日、供え物を下げて飲食すること。後宴。[2]〔補説〕 祭りのすんだあとの山車(だし)の意から、時機を逸して甲斐のないこと。手遅れ。悔やんでも「後の祭り」だ