詐欺まがいのメールの話(私の体験談)

 相変わらず迷惑メールが多い。このところ1日に100件くらいの迷惑メールがあり、それを削除するのが一仕事だ。それに音を上げてメールアドレスを変えた知人もいるが、それも何かと面倒だし、変えたところでいずれ迷惑メールが来ることになれば無意味だし・・・などと思って、そのままでせっせと削除している。迷惑メールならまだ良いが、この夏の終り頃から詐欺まがいのメールがしきりに来る時期があった。結論を先に言えば、一応解決したようなのだが、皆様への御参考になるかも知れないので、その経過を順を追って書いて行くことにしようと思う。


Ⅰ 最初にそのメールが来たのは、8月の末である。その要旨は次のようなものだった。(具体的に書くことによってこのブログがメール発信者に察知されて、悪用されても困るので、内容が特定されそうな部分は略記する。そんなことはあるまいとは思うものの、メールやブログの仕組みも良く知らないので、念には念を入れて・・・。)

【料金滞納通知】
発信者:○○事務局
会員ID番号 ○○
 お客様は○○(注:年月日と時間)にご入会頂けました当サイト○○のご入会時に発生しております番組料金○○円(注:10万円弱の金額)を滞納なさっております。
 早急に番組料金○○円のお支払いをお願い申し上げます。
【お支払い口座及びにカード決済案内ページ】http://(以下略)
 お客様は、利用規約確認画面、その先の最終ご利用確認画面のOKボタンを押されご入会処理を行って頂いております。つまりは利用規約に同意してご入会して頂けております。
 利用規約において、料金のお支払いは入会日より3日以内とさせて頂いておりますが、お客様は既にご入会日より6日が経過しております。
 これは、利用規約違反に該当致します。早急にお支払い頂けなければ、利用規約○○条に基づき、少額訴訟などの法的手続き及びに遅延損害金、通常料金のご請求をさせて頂く場合も御座いますので、早急なご対応をお願い申し上げます。
 また、ご対応して頂けない場合は、当方と致しましては悪意を持ったご入会者及びに悪質な利用者として判断せざるを得ませんので、所定の手続きも取らせて頂きますので、併せてご了承ください。
 本メールに対して、ご質問等は必ず下記窓口までお問い合わせください。
【お客様サポート窓口】フリーダイヤル及びメール番号
【お支払い口座及びにカード決済案内ページ】(略)
 <<番組入場口>>(略)
 ご入会情報(略)
  会員ID番号○○ ご入会日○○ (以下の項目略)


Ⅱ 早速警視庁に手紙を書いた。どこに出したら良いか判らないので、宛て先は「メール詐欺御担当」御中とした。
 
 前略 昨日、別紙(別紙として、上記メールの現物コピーを添付)の通り詐欺メールらしきメールが届きましたので、御参考までに御連絡致しておきます。

 私と致しましては、全く心当たりのない話で、おそらく不特定多数の相手に無差別的に送っているメールではないかと思われます。いわゆる迷惑メールは、毎日数十件参っており、その都度削除致しておりますので、その際うっかり違う部分をクリックした可能性がゼロとは申せませんが、少なくともID番号を取得したようなことは全くありません。また、同メール指摘のような事実が仮にあったとすれば、当然私の姓名やメールアドレスは先方で把握しているはずであり、それらを記載した「滞納通知」が来るはずです。(後注:住所氏名どころか、メールアドレスすら記載されていない。)そういった意味でも、特定の個人あてのメールではなく、無差別に発信しているメールだと思われます。なお、同メール記載の「サポート窓口」等にメールすれば、更に悪用される可能性もあると思い、本メールに関しては、直接の行動は行わず、無視致しております。

 このような「滞納通知」をメールすること自体、詐欺行為に該当するのではないかと思いますが、仮にこれだけでは詐欺に該当しないとしても、その準備行為に当たるものだと思われます。この種のものにつきましては、警察御当局におかれても情報収集をなさっておられることと思いますので、御参考までに御連絡する次第です。(後略)
           日付、私の住所・姓名 電話番号


Ⅲ Ⅰと同内容のメールが、その後1日に3通程度、約1月間毎日来たが、私は当然のことながら無視した。うかつに指定の番号にメールしたりすると、当方のメールアドレスなどが先方に判り、更にエスカレートする可能性があると思ったからだ。
 9月末に、以下のようなメールが来て、メールは次のステップに進んだ。

【最期通告】
 当方より再三のご連絡に対しまして、ご対応して頂けませんでしたので、誠に遺憾ですが、10月10日を持ちまして少額訴訟とさせて頂きます。
 少額訴訟金額は、正規料金150,000円と遅延損害金(12.2%×経過日数)を合わせました金額のご請求、及び悪質な入会者と判断せざるを得ない為、サーバー使用料、事務手数料を含めました金額のご請求をさせて頂くこととなります。
 当方からの最終和解交渉としまして、金44、130円にての退会手続きを10月10日まで受け付けます。10月10日までに金44、130円をご入金頂けない場合は、上記、通常請求から少額訴訟へとかえさせて頂きます。
 ご対応無き場合は、当方からの最終和解交渉へのご対応の意思がないと判断させて頂くことをここに通知致します。
(後注:当初のメールと共通の部分は省略)


Ⅳ 早速、再度警視庁に以下の手紙を書いた。
 
 前略 その後の経過を御報告致します。
 その後、同文(経過日数だけは変わっている)の督促状が、毎日3通程度参っておりましたが、本日、別紙の「最期通告」なるものが参りました。もちろん、私としましては何らかの行動を起こす積りはなく、引き続き無視することに致しております。身に覚えがなくても気色の悪い話ではありますので、人によっては「妥協」して、「和解交渉」に応ずるケースもあろうかと存じます。
 以上、御参考までに御報告致します。なお、貴庁とされまして何らかのアドバイスがおありでしたら、お聞かせ頂きたいと存じます。(Ⅲのメールのコピーを添付)
  

Ⅴ このメールで「うまいな」と思ったのは、脅かしながら金額を下げて気を引いている点だと思う。当初の請求金額が10万円弱、それに対し、「少額訴訟」の金額は15万円+α(「α」の大きさは見当が付かない。)、「和解」の金額は4万円台である。自信のない人であれば、「4万円で手を打とうか」という気持になっても不思議はない。


Ⅵ Ⅳの手紙を書いた後警視庁の担当者の方から電話があった。その内容は
 ①詐欺に当たるかと思うが、これだけで捜査し立件することはむずかしい。
 ②無視するという方法が最も良いだろう。
 という趣旨のものだった。


Ⅶ 期限の10月10日まで、毎日3通くらい同文のメールが続いた。一種の神経戦というわけだが、10月11日からはメールが来なくなったので、警視庁の担当者の方に報告の手紙を出した。

警視庁○○課 ○○様(メール詐欺御担当)

 前略  先日はお電話頂き、どうもありがとうございました。その後の状況を御報告申し上げます。
 前回お便り致しましたように9月29日に「最期通告」が参り、その後「期限」の10月10日まで、毎日3通程度の同文のメールが参っておりました。
 10日以降、どのようなものが来るのか楽しみ(?)にしておりましたが、現在のところ何も参っておりませんし、「最期通告」も中断されております。そのうちにドカンと何か来るのかも知れませんし、あるいはあきらめたのかもしれません。(後略)


Ⅷ この段階で私なりに心構えをしていたのは、次のようなことだった。
 ①裁判所からの呼び出しめいたメールが来るかも知れない。もちろん、住所氏名などがブランクのままで裁判所がアクションを起こすことは考えられないが、達者な詐欺師であれば、当方が錯覚を起こしやすいような文面のメールが来ることはあり得る。それに直接反応すれば、私についてのデータが先方に伝わるかも知れないから、直接は反応しない。
 ②ただ、その場合には万一の事態に備えて、裁判所に照会はしてみる。もちろん先方からのメールに記載されている電話番号等ではなく、別途調べた上で、関係裁判所等の正しい電話番号への照会である。


Ⅸ しかし、現在のところ、これは取り越し苦労だったようで、その後は何の反応もない。多分あきらめたのだろうと思う。かなりしつこい相手だと思っていたので、少々拍子抜けという気がしないでもないが、あるいは、そこまでの段階である程度の人から成果(?)があったので、そこいらで打ち止めにしたのだろうか。

 
以上、他愛のない御報告である。単なるお話としてお聞き流しになっても良いし、もし同じような局面に遭遇された方がおられれば、何かの御参考になればと思い、長々と書き記した次第だ。要するに、多くの場合、何もしないで放置しておくのがベストの方法だろうと思っている。

            *   *   *   *   *
 
 このところ、題詠100首関係ばかりが続いたが、それも終わったので、しばらくはほかのことでこのブログを埋めて行くことになる。そうは言いながらも、書く以上は多少はまとまってものを書きたいという気持もあるし、まとまったものを書けば書いたで、今度は「スペース・マガジン」の原稿に使えないかという気持になってしまう。そんなわけで、あまり律儀にこのブログに書くということにはなりそうもないが、あまり堅苦しく考えずに、今日の雑文を手始めに、これからも折に触れて雑文を書いて行くことにしたい。


注1:「題詠100首」  五十嵐きよみさんという歌人の方が主宰しておられるネット短歌の会で、私も一昨年から参加し、皆さんの投稿した作品から選歌集を順次作り、終了後には「百人一首」を作っている。なお、最初にこの会に参加したとき「百人一首」を作ってみようと思い立ち、そのためにブログなるものに手を付けたので、「題詠100首」がこのブログの産みの親である。
注2:「スペース・マガジン」  日立市で刊行されている月刊のタウン誌。ある御縁で、3年ほど前から「愚想管見」というタイトルでコラムを持たせて頂いている。