ございませんでしょうか(ねんきん特別便)

   
 先日新聞を読んでの感想である。
 
 ねんきん特別便のサンプルを新聞で見て、思わず笑ってしまった。笑うと同時に一種の違和感、更に言えば一種のおぞましさも感じた。それは、「加入歴はございませんでしょうか」という表現に関してである。
 「加入歴のヒントを与えない」という社会保険庁のこれまでの方針は、制度の趣旨や経過を無視したを全くナンセンスな方針で、これを撤回したことは当然だと思うが、我々が期待しているのは、親切で的確・迅速な対応であり、猫撫で声の慇懃無礼な対応ではない。「ございませんでしょうか」というのは、日本語として最大級の丁寧な表現だと思うが、この場合は「加入歴はありませんか」で十分だと思う。

 丁寧な言葉使いが悪いとは言わないが、馬鹿丁寧な言葉使いには、かえって誠意を感じないということもありそうな気がする。無意味なところに神経を使って相手におもねていると言えなくもないし、もっと意地悪く言えば、懐の痛まないところで「妥協」し、低姿勢で深々と最敬礼をして、蔭で舌を出しているという印象すら受けないではない。

 何が大切なポイントなのかということを十分にわきまえて、肝腎なところで的確に対応して欲しいものだと思う。