題詠100首投稿(21〜40)

 今日のところは10首ほど投稿しようと思っていたのだが、はじめてみたらついつい興に乗ってしまって、20首投稿してしまった。まあ、これで暫くは安心して「選歌」に掛かれるというものだ。元来、当然のことながら自作が「主」で、選歌が「従」のはずだったのだが、いつの間にか選歌の方が「主」になってしまったような気がしないでもない。


題詠100首投稿(21〜40)

021:サッカー
「先生邪魔」とサッカーする子に咎められ体育教師うろたえている
022:低
港より見えし我が家もいまはなく低き甍の立ち並ぶのみ
023:用紙
僅かなるコストにあれどエコなどと言いて用紙の裏使いおり
024:岸
遷せし墓に彼岸の花を供えればやや墓らしき風情持ち来る
025:あられ
子も孫も離れて住める日々なりて色とりどりの雛あられ食う
026:基
高層ビルの基礎工事進むを見ておれば巨大な船を作るが如し
027:消毒
真っ白にDDTを掛けられて消毒受けし戦後もありぬ
028:供
大人とも子供とも見えフェルメールの少女に似し人プールを歩む
029:杖
道端で拾いし枝を杖としてせせらぎの音辿りつつ行く
030:湯気
朝の湯に浸りておれば湯気の立つ一郭ありて鳥の声する
031:忍
忍耐を知らぬ世間になりたると思えるニュース多きこの頃
032:ルージュ
ムーランルージュの風車描きし絵皿一つ少し汚れて片隅にあり
033:すいか
格別の指摘も受けずに健診終え今年はじめてのすいかの甘し
034:岡
雲低く玄界灘を閉じ込めて機は福岡へ高度を下げる
035:過去
争うべき過去の記憶が澱(おり)となり眠れぬ夜の堂々巡り
036:船
月影を映す水面(みなも)を乱しつつ巡航船は港に入る
037:V
カメラに向かいVサインする無邪気さを昔も今も我は持たざり
038:有
花金の有楽町の夜行けばサラリーマンの群れの懐かし
039:王子
悲観的な見方を妻は受け入れず白馬の王子の夢追いている
040:粘
孫たちの粘土遊びに付き合いていつしか我も真剣になる