定額給付金と消費税

 以前にも書いたように、時折朝日新聞の「声」に私見を投稿している。当然のことながら載ったり載らなかったりなのだが、それでもここ5年ばかりの間に、10回ばかり掲載された。今回は、最近投稿して載らなかったものを、このブログで御披露したい。字数の関係で舌足らずのところもあるが、手を加えずに投稿通りにしておく。



       定額給付金と消費税


 今回の定額給付金の迷走ぶりは目に余るものがあるが、私は別の意味でこの制度の運用に注目している。それは消費税増税との組合せである。
 消費税増税は不可避だというのが私の持論なのだが、当然のことながら消費税は弱者に厳しい税制である。生活必需品の税率を低くするというのも一つの解決策だろうが、その線引きをはじめ、実務的にはおそらく実現は困難だろう。そこで提案したいのが、「定額給付金」との組合せである。
 それは、増税分のうち、最低限の生活必需品消費額に見合った額の全部又は一部を、「生活必需品消費税還付金」として毎年定額給付し、生活必需品の税率引上げの影響を実質的に緩和するという方策である。それにも実務的な難点はいろいろあるだろうが、今回の定額給付金制度の実施は、そのためのテストケースとして活用できるのではないか。そうなれば、今回の「愚策」も、大きな意味を持つものになるような気がする。
 なお、給付金は、一定の要件を備えた外国人にも当然適用されるべきものだと思うし、消費税増税のためには、所得税累進課税の強化と所得の確実な把握が不可欠の前提だと思う。