題詠100首選歌集(その1)

 題詠100首に参加させて頂いて5年目に入りますが、例年通り選歌集をまとめ、終了後に「百人一首」を作る積りにしております。至って勝手気まま、かつ刹那的な判断による選歌であり、ご不満の方も多いかと存じますが、何の権威もない遊びごころの産物ということで、お許し頂きたいと存じます。
 25首貯まった題から選歌して、それが10題貯まったら「選歌集」としてまとめる予定ですが、最初と最後はそれでは窮屈なので、原則を崩しております。なお、題の次の数字は、主催者のブログのトラックバックの件数を利用しています。誤投稿や二重投稿もありますので、実作品の数とは必ずしも一致しておりません。
 自分が投稿する前には、他の方の作品は読まないようにしているのですが、私自身の作品も第14まで投稿しましたので、そろそろ選歌を進めても良いだろうと思い、手を付けたところです。これからは、私自身の投稿が少し先行するようなペースで、選歌と投稿をジグザグに進めることになるのかなと思っております。なお、主催者のブログにありますように、トラックバックができないケースが出たようで、私の場合も第15以降がトラックバック不能になっています。そんなわけで、手持ち無沙汰でもあり、とりあえず3題だけで先走って選歌をする次第です。
 それでは皆様今年もよろしくお願い致します。


              選歌集・その1


001:笑(1〜62)
(はこべ) 白梅が風青き春伝えきて 小面ひとつ静かに笑う
(五十嵐きよみ) プロヴァンス訛りで話す人たちの笑顔に会って夏がはじまる
(船坂圭之介) みだらなることと笑ふな乙女等よ雪さりさりと舞ふ聖夜祭
(梅田啓子) ビキニから腰の笑くぼがのぞいてた あれから百年経つた気がする
(新田瑛) 密やかに不安の種は降り注ぐ たとえば午後の談笑のとき
(文月育葉)こんこんと眠る新月のアルテミス笑窪(えくぼ)の奥に星を宿して
(みずき)嘆かじと笑み生るるまで冬近き鏡の中にわたしを探す
(新井恭子)不用意に受け取ってきた微笑みを並べて冬の星座にかえる
(イマイ) 微笑みのその先に咲くプルメリア手をつながないきみが好きです
(風天のぼ) むりせずに笑えるあすがくるだろう雑木林を風とおりゆく
002:一日(1〜39)
(かりやす) ウザイなど言ひつつ待てりふるさとの一日置きの電話のこゑを
(みずき)耳鳴りは敗北感のあと曳きて一日(ひとひ)怪しく我を揺さぶる
(布川イヅル)ビスケットを二人で食べる それだけの一日だって恋だと思う
(はこべ) 一日が小鳥の声で明けた日は コーヒーカップの湯気がうれしい
(ひじり純子)一日の始まりはまず愛犬と朝の空気を嗅ぎに出かける
(行方祐美)マルボロを喫うように過ぎし一日か朝の四時のメール嫋やか
(文月育葉)一日も群れからはぐれず飛びたてず空にはひつじ雲が流れる
(井手蜂子) ビルの無い青空に嘘はつけなくて慣れぬ道行く四月一日
(西野明日香) おそらくは今日一日で消えてゆく傷 壁紙の継ぎ目を見つつ
003:助(1〜33)
(かりやす)助詞ひとつまちがへただけきさらぎにたぶん誤解のふたりとなりぬ
(五十嵐きよみ)見るからに一癖ありげなまなざしの助演女優のほうに引かれる
(みずき)助動詞のあとに点うつ形して涙を落とす さよならの紙
(じゅじゅ。)助手席は今もあなたの指定席 白い帽子が風に揺れてる
(Re:) 他の子を乗せないでなんて言えなくて位置をなおして座る助手席
(秋月あまね)ややあってはにかみながら私まだ独身ですと助産師が言う
(原田 町) 助六恵方巻など用意して節分の夜は鬼と遊ぼう
(梅田啓子)弓なりのわが体(たい)越ゆる瞬間を思ひ描きて助走に入る