題詠100首選歌集(その12)

 迷惑メールは、相変わらず1日100通くらい届くが、それに加えて、このところこのブログに、「スパムコメント」らしきものがやたら届くようになった。ほとんどがバイアグラの宣伝らしき英文のものであり、特定の日付の欄に集中して、1日10通以上届く。「宣伝」の意味があるとも思えないし、このブログに対する意図的な嫌がらせだとも思えない。発信者の側から見て、どのような意味があるものなのかさっぱり判らないのだが、私としてはせっせと削除して行くしかない。その「スパムコメント」が「最近のコメント」欄のスペースを占めてしまうので、コメントを下さる積りの方から御覧になれば目障りだろうと思うが、どうかお気になさらないでコメントを頂きたいと思う。余計な雑談が長くなってしまった。
 今日は久々の上天気。やっと3月になったという実感が湧いて来た。


      選歌集・その12


001:笑(200〜224)
(ぷ〜ち。)うすい笑みうかべた寝顔が愛しくて起こしたくない月曜の朝
(はしぼそがらす) パンジーの模様が笑っているようでつられてしまう診察を待つ
(村本希理子) 開き癖少しつきたる歳時記の笑まふがごときふらここを漕ぐ
(森山あかり)北風に春の香りがするように涙にもふと笑顔の気配
(草蜉蝣)微笑んで旅だったのはもう昔 昨日とどいた家族の写真
002:一日(174〜199)
(泉)育みの雨降る一日巣籠りて羽化することを夢見てゐたり
(きじとら猫)脱ぎ捨てた今日一日の抜け殻を見ないふりして明日を纏う
(やや)やわらかく重ねあわせた手のひらの余韻かすかに一日(ひとひ)を過ごす
006:水玉(137〜161)
(村本希理子)水玉の模様散り敷く雨傘にはじかれ雨粒また玉となる
(橘 みちよ)溶けし雪の水玉となり髪つたふかけこみ乗車のコートの少女
009:ふわふわ(103〜127)
(村本希理子)ケータイにピンクのファーを貼り付けてふわふわ不惑の妹を待つ
(太田ハマル)ふわふわの1005匹目の羊から切符をもらう夜の改札
010:街(106〜132)
(振戸りく) 落書きの上にペンキを塗ってあるシャッターばかり目立つ街並み
(ゆふ)眠らざる街の夜明けの束の間の静寂を断つ一番電車
(橘 みちよ)異次元に迷ひゐるごと街かどに家並み消えて道路が走る
(酒井景二朗) 少しづつ繁華街にも慣れようと思つて買つた切符が折れた
(ezmi)遠き日のまぼろし祖母の思い出と連れ立ち歩く日光街道
(詠時) セルロイド人形みたいな香りさせ街のネオンへ少女溶けゆく
012:達(78〜105)
(ゆふ) 伊達巻ののの字の切り口美しき遠まなざしの雛(ひひな)を憶ふ
(暮夜 宴) 「達」というペアなニュアンスさえ嫌で薬指ごとはずした指環
023:シャツ(27〜51)
(佐東ゆゆ)そばにいてほしい、だなんて言えなくてあいつのシャツのそで口を噛む
(ジテンふみお)気付かないふりで過ぎようこの先に同じシャツ着た奴が立ってる
024:天ぷら(26〜50)
(みつき)祝い膳 朗らかなりしひとときの 天ぷらの海老 尾は赤くあり
(はこべ)春野菜天ぷらにしてきみ待てど ただ冷えてゆく午後11時
(行方祐美)アイスクリームの天ぷらという物語つくりし人ときのう会いたり
025:氷(26〜50)
(わだたかし)溶けかけの氷のような立ち位置で同窓会を楽しんでます
(梅田啓子)腎を病む母は氷を舐(ねぶ)りつつのどの渇きに堪へてゐたりき
(みつき)氷雨降る庭を眺めて穏やかに 美しき哉と言う僧のあり
042:クリック(1〜25)
(船坂圭之介)”クリック”と合鍵廻す日々にして独身貴族の淋しき生活(くらし)
jonny)バーチャルな買い物かごに小気味よくクリックされた物があふれる
(小早川忠義) クリックにたちまち句集届けらる秦野の町の古本屋より
佐藤紀子)グーグルを開いて何度かクリックしストリートビューで覗く故郷(浦島太郎物語)
(夏実麦太朗)ダブルクリックうまくできずに困ってる専務の指を横目で見てる