「区」の名前 - しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳

　この４月１日に、岡山市が政令指定都市に指定された。政令指定都市になると、「区」が置かれるのだが、その名称を見ると、北区、中区、東区、南区と、どこかで見たような無粋な名前が並んでいる。そんなところから、「区」の名前を整理してみようと思い立った。

　
　その前に、まず政令指定都市の概要をざっと眺めておこう。
　平成の大合併で、政令指定都市が随分増えた。さいたま市、新潟市、静岡市、浜松市、堺市、岡山市が最近新しく登場した政令指定都市だ。これまでの札幌市、仙台市、千葉市、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、北九州市、福岡市の１２市に加えて、６市増加して１８市になったわけだ。
　ご存じの方も多いと思うが、政令指定都市に指定されると、都道府県の仕事の中の相当部分が市に移管され、都道府県の中でかなり独立性の強い存在となる。また、市の中に区が置かれて、市の仕事を分担することになっている。
東京にも区があるが、これは政令指定都市の区とは違って、東京都に直結した特別区であり、区長は公選であり、区議会も置かれている。むしろ「市」に近い存在と言っても良いだろう。この点、政令指定都市の区は、区役所はあるが、あくまでも市の出先機関であり、区長も市の職員である。もちろん区議会は存在しない。
　このように、政令指定都市の区と東京の特別区とでは、その性格は基本的に異なるが、大都市の一部を分割して行政を行っているという意味では共通なので、ここでは特別区も含めた１９都市の区について眺めてみよう。

　
　まず区の数を見てみよう。一番多いのは大阪市の２４区であり、東京２３区を上回っている。東京に続くのが横浜市の１８区で、名古屋市の１６区、京都市の１１区、札幌市とさいたま市の１０区と続く。以下列挙すると、９区が神戸市、８区が新潟市と広島市、７区が川崎市、浜松市、堺市、北九州市、福岡市、６区が千葉市、５区が仙台市、４区が岡山市、３区が静岡市となる。
　区の数は、都市の規模ともある程度関連を持っているようだが、それ以外に合併その他の都市の誕生の経緯をはじめとする各種の歴史的経緯に左右されている面もあるようだ。

　
　前置きの積りが、すっかり長くなってしまった。本題の名前の話に入ろう。言うまでもなく、区は、大都市を分割したものだから、格別の独自性を発揮しないままに、東西南北などの名前でお茶を濁している場合が多い。特に、比較的小規模な都市の場合に多いようで、最初に書いた岡山市の場合がその典型だ。このほかにも、新潟市、浜松市、堺市、広島市あたり、同じようなものが多い。このうち、北区、西区、南区は、１９都市中１１都市に存在している。どういうわけか、東区は８市と少し少ない。また、中区と中央区を合わせると、最大の１４都市になる。
　「市」の場合は、一応地域として独立した存在だから、一応個性のある名前が使われている場合が多く、このような没個性的な名前は少ない。もっとも、最近山梨県に誕生した「中央市」は、全く独自性のない名前だし、愛媛県の「四国中央市」も似たりよったりかも知れない。

　もう一つのパターンは、それぞれの区の以前の代表的地域名を付けたケースであり、名前の数としては、これが断然多い。「市」の名称の場合と概ね同類の名称と言っても良かろう。以前５市が大合併した北九州市の場合、門司、小倉、若松、戸畑、八幡の旧市名がそのまま区名として使われている。なお、その後小倉区は南北に、八幡区は東西に分割された。
　さいたま市、静岡市、浜松市、堺市などでも、合併前の市や町の名前が区の名前として生き残っている。古くに遡れば、東京２３区、横浜市、名古屋市、大阪市、神戸市の場合などもそうである。
　
　港区は、東京、名古屋、大阪の３都市の港湾部にある。ミナトヨコハマには港北区、港南区があるが、どうやら「横浜港」とは離れた地域にあるようだ。
　このほか、緑区、青葉区、旭区など、イメージの良い名称を採用したものもある。もっとも、仙台市青葉区の場合には、青葉城という城の名前が以前からあったので、単なるイメージではなく、固有名詞という色合いも多少はあるのかも知れない。

　
　前置きばかり長くて、本体の「区名」の話の方が尻切れとんぼになってしまった。その埋合わせに、区の名称一覧を付けておこう。

　
　　　　　　　　　　　　　区の名称一覧（同数の場合は区名の５０音順）