題詠100首選歌集(その31)

 今年のゴールデンウィークは、全国的に好天続きのようだ。そうかと言って格別の予定もなく、目下のところとりとめもない時間を過している。


            選歌集・その31

007:ランチ(211〜235)
(佐原みつる)だからって許せるというわけもなくワンプレートで済ませるランチ
(こおなまぬがな)ケンカしてきみからメール来ないまま。おすすめランチはきのうと同じ
(原 梓)さみどりのランチョンマットを敷きし日の団欒の時間(とき) 思い出している
(葉月きらら)ディナーほど豪華なものじゃないけれど ランチみたいな心地よい恋
(kei) しあわせに暮らしてますっていう証?君の花柄ランチボックス
008:飾(203〜227)
(木下奏)飾らずに喋る私が本当の私かどうか分からない夜
(sora)飾り棚に何も置かれてない朝はため息ひとつこつそり載せる
(田丸まひる) 今はただ飾りつづける耳たぶも指も沸点なんて知らない
010:街(186〜210)
(ゆうごん)その壁にふれられぬまま不機嫌なほほの向こうの入り組んだ街
(ワンコ山田)噴水が乱反射する地下街のちいさな虹が約束の場所
(sora) 街路樹の一本を私のさくらと決めて毎年きつと会いにゆきます
016:Uターン(156〜180)
(ゆき)もう一度桜吹雪を浴びたくて四月の午後にUターンする
(nnote)Uターンラッシュに紛れ巻き戻す記憶桜が散るあたりから
(こゆり)つまさきをなぞる中指Uターンする先なんてひとつしかない
025:氷(101〜125)
(ほたる)氷嚢の水が囁く戯れ言に微熱を帯びたやわらかな頬
(TIARA)張りつめた氷の上で君を待つ 失うものはもう何も無い
(新野みどり)アイスティー浮かぶ氷を見つめてた彼との会話が途切れた時に
034:序(76〜100)
(春待)「さん」付けで届いたメールはぎこちなく明日の恋の序章を開く
(五十嵐きよみ)物事の順序を説かれマニキュアをため息重ねて乾かしている
058:魔法(26〜50)
陸王)さみしさのきみには雨をすきになる魔法をかけてみたいと思ふ
089:テスト(1〜25)
(船坂圭之介) わくら葉の掌に重し秋 迷ひつつわが行くテスト・ランてふ路を
(みつき)答えなきテストのようなこの道の終着駅を求めて走る
090:長(1〜25)
(船坂圭之介)影長く寄らしめて樹は蒼空へ 我執とは斯くゆるがざるもの
(梅田啓子) 長女ゆゑ譲りゆづりて生きて来ぬおほきな苺は夫のくちに
091:冬(1〜25)
(みずき)冬櫻身ぬち明るきこの夜をしらしら小さき雪の降りつむ
(じゅじゅ。)小豆粥 かぼちゃ煮 ゆず湯 楽しみて冬至の夜はゆるりと更けぬ
(ジテンふみお) 用もなくログインすれば壁紙の冬の星座に悲しきすばる
(佐藤紀子)竜宮の冬の窓より見上げれば雲の如くに氷塊が浮く