少子化・高齢化・晩婚化(スペース・マガジン7月号)

例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。


   [愚想管見] 少子化・高齢化・晩婚化         西中眞二郎


 我が国にとって最大の構造的問題である少子高齢化について、国勢調査のデータを眺めてみよう。平成17年の我が国人口の年齢別構成を見ると、14歳までの「こども人口」が全体の13.7%、65歳以上の「高齢者人口」が全体の20.1%という結果になっている。15年前の平成2年には、こども人口が18.2%、高齢者人口が12.0%だったのだから、相当な変化である。因みに、高度成長期の昭和40年の構成を見ると、こどもが25.7%、高齢者が6.3%と、現在と全く異なる様相を呈している。
 平成17年について県別に見ると、「こどもの率」が圧倒的に高いのが沖縄県で18.7%、逆に最も低いのは東京都の11.3%である。茨城県は14.2%、日立市は14.3%と全国平均をやや上回る。「高齢者の率」を見ると、最大が島根県の27.1%、最小が沖縄県の16.1%である。茨城県は19.4%と全国をやや下回り、日立市は20.9%と全国をやや上回る。
 
 両者を総合した数字として、こどもの数を高齢者の数で割った数字、これを「幼/老比率」と呼んでも良かろうが、その「幼/老比率」を年次別に見ると、昭和40年の4.1倍を別格として、平成2年が1.5倍、平成7年が1.1倍であるのに対し、平成12年には83.9%と1を切り、平成17年には68.3%と、その減少ぶりが著しい。平成17年の「幼/老比率」を県別に見ると、沖縄県の116.1%が唯一100%を超えて図抜けた存在になっており、逆に最も低いのが秋田県の46.2%、高知県島根県が50%弱でこれに続く。これらの地域では、こどもは老人の半分足らずしかいないということになるわけである。茨城県は73.4%、日立市は68.7%と、全国レベルをやや上回る。



 最後に、少子化と大きな関連を持つ結婚関係のデータを見てみよう。
まず男性である。30〜34歳の男性の未婚者の割合は、昭和30年にはわずか9.1%だったのに対し、平成17年には47.1%と5倍に増加している。また、25〜29歳の女性の未婚者の割合は、昭和30年の20.6%から、平成17年には59.0%とこれまた3倍増であり、男女とも結婚年齢が大幅に遅くなっている。なお、平成17年の茨城県日立市のデータを同じ年齢層について見ると、男性の場合はいずれも47%台で全国とほぼ同じ、女性の場合は、茨城県56.1%、日立市53.2%と全国よりはかなり未婚者の割合が低いが、それでも半数を大きく上回っている。
 結婚がなぜ遅くなるのかについては、価値観の変化その他さまざまな要因があるのだろうが、やはり最大の構造的要因は、不安定な雇用状況による生活基盤の脆弱さに求められるのではないか。子育て支援その他の直接的な対応策が必要なことは言うまでもないが、より構造的には、安心して将来の生活設計ができるような雇用の安定が、「晩婚化、非婚化」を防ぎ、少子化を防ぐ最大の手段のような気がしてならない。(スペース・マガジン7月号所収)