高速道路料金無料化への疑問(朝日新聞「声」)

 昨日の朝日新聞東京本社版の「声」に掲載された投稿を転載する。
 掲載されたものは表現やタイトルが少々変わっているが(もちろん合意の上で)、ここでは投稿した原文のまま載せることにした。別の新聞記事によれば、自民党民主党に対する攻撃材料として高速道路無料化を取り上げているようだが、現在の高速料金1,000円化も全くの同根であり、自民党の尻馬に乗ろうという意図は全くない。


高速道路料金無料化への疑問
              西中眞二郎 無職(東京都練馬区・71歳)


 民主党マニフェストに高速道路料金の無料化が入ったようだが、これには大いに疑問がある。今後の交通体系のあるべき姿から見て、それが正しい方向なのかどうかにも疑問があるし、受益者負担とせずに国民全体が負担するということにも疑問がある。
 交通体系という視点に限って言えば、マイカーは最も好ましくないものであり、大量輸送手段を活用することが望ましい。地球温暖化の観点から見てもそうだし、経済効率という意味でも同様だと思う。また、不要不急の車の増加による混雑により、本当に必要な輸送が阻害されることも問題だし、代替交通事業者への悪影響、ひいてはそれを利用する一般国民への悪影響まで考えれば、少なくとも交通体系という観点で見る限り、高速道路の一般的無料化は、百害あって一利なしと考えざるを得ない。
 緊急対策として採られている現在の料金大幅割引にも同様の問題があると思うが、今回のマニフェストはいわばそれを恒久化・構造化しようとするものであり、限られた地域での無料化や料金引下げはともかく、一般的な無料化は、体系的構想を欠いた愚策としか言いようがないものだと思う。