題詠100首選歌集(その82)

 締切りまであと4日、ラストスパートの方々の御完走をお待ちしています。


          選歌集・その82


036:意図(202〜226) 
(里坂季夜)楽しげなコメントの意図計りかね甘くしすぎたシナモンミルク
(寺田ゆたか) 優しきは罪滅ぼしかと笑みていふわが意図すでに見透かされたり
(茶葉四葉)想いとは思わぬところに宿るもの 意図せず放ったことばに揺れる
049:ソムリエ(178〜202)
(鯨井五香)枸橘の古木にもたれソムリエはガラスコップに夕焼けを汲む
(みち。)たくさんのソムリエがいていろいろと決めてもらっているような夜
051:言い訳(177〜201)
Ni-Cd) 言い訳がほころび梅が咲いてゆき赦されなくて卒業の朝
(千坂麻緒)言い訳もいってくれない朝がくるたぶんやさしいつもりの椿
(緒川景子)たぶんもう二度と会わない人だから心に残る言い訳をする
(青山みのり)言い訳がうまくなったとおもいつつ子がオムレツを崩すをながむ
072:瀬戸(155〜180)
(kei)君からの声が聞こえてくるような一輪挿しは黄瀬戸の徳利
(佐山みはる) 瀬戸内の島並みはるか夕焼けの写真をほめてコメント終へる
073:マスク(151〜175)
(惠無) 変身も可能な気がするマスクつけ自転車ライダー朝もやを行く
074:肩(152〜176)
(寺田ゆたか)妻の背を流しつつ憶ふ右肩の小さき黒子(ほくろ)に口づけしこと
(月原真幸)肩越しに見た朝焼けの屋上はひとりぼっちのにおいがしてた
(小林ちい)肩越しに見る天井は揺れていて声にならない夜をのみこむ
091:冬(129〜153)
(寺田ゆたか)冬過ぎて日ごと日永になりゆくに汝が命のみなど短きや
(emi)立冬を知らせるラジオ鳴る朝に逝く人もあり産む人もあり
(近藤かすみ)菅直人岸部一徳にふと見えて冬の窓辺は煙草のにほひ
今泉洋子)伝へたき君への想ひ言へぬまま冬の夕陽はさつと沈みぬ
(村本希理子) 不用意に触れたる夫の冬薔薇たがはずわれを刺す棘を持つ
(穂ノ木芽央)冬将軍の馬蹄の音をききつけて今宵木枯らしが遊び惚ける
093:鼻(130〜154)
(お気楽堂)遺伝として母方からは耳鼻科系さらに父方からは水虫
(村本希理子) 鷲鼻の父魔女鼻の母にして小さき鼻の三姉妹われら
094:彼方(129〜153)
(寺田ゆたか)夕映えの彼方にあるは死の闇か紫の雲彩(いろ)褪せてゆく
(星桔梗) 彼方より駆け寄る君よ懐かしき幼き頃の姿まといて
(お気楽堂)見上げたる夜空の中にすでになき彼方の星の過去の輝き
(一夜)暗闇の彼方に何か見る様な ざわめく胸に木枯らしの吹く
095:卓(129〜153)
(ぷよよん)今日というあまさからさまぜこんで煮込んだポトフ食卓におく
(紫月雲)陽の落ちた隅の小さな食卓に幸せ一片しつらえており
(bubbles-goto) 家にいる時間少なし暗がりの食卓塩のはるけき白さ