題詠100首投稿(061〜070)

061:奴    嫌な奴ほど偉くなるという言葉時に脳裡をよぎることあり
062:ネクタイ 久々にネクタイ締めて出でたれば電車の窓に顔映しみる
063:仏    仏壇の脇に置かれし友の写真屈託のなき笑顔でおりぬ
064:ふたご  ふたご座と思いし星は束の間の雲に隠れて田沢湖の宿
065:骨    ふるさとの墓より堀りし骨洗えば草の根絡むものもありたり
066:雛    パーティーの帰りのロビーの雛飾り皆たおやかな笑顔でおりぬ
067:匿名   世捨て人の我にも多少の立場ありて激しき批判は匿名で書く
068:怒    怒るべきときを逃せしことあるを悔やむ日もあり古希過ぎてなお
069:島    次に来るはいつならむやと思いつつ島を離れるフェリーに乗りぬ
070:白衣   駅頭に白衣の傷痍軍人の立ちし日々あり 時は過ぎたり