題詠100首投稿(081〜090)

081:シェフ    外人のシェフらしき人黒エプロン着て看板の位置直しいぬ
082:弾      弾き終えし音の余韻を楽しむごとピアニスト暫し動かずにおり
083:孤独     高みよりパイプオルガン弾く人は神の孤独を味わいいるか
084:千      千歳飴提げし子が行く狭き道今日は降らずに済みそうな昼
085:訛      故郷近き町に入ればバスに乗る人の訛りの疎ましくもあり
086:水たまり   にわか雨上がりし道の水たまり 歩みにつれて雲の流れる
087:麗      男装の麗人との語を思い出す川島芳子のテレビ見おれば
088:マニキュア  採血に我が手をさする看護婦のマニキュアのなき爪の小さき
089:泡      晴れわたる伊豆の浦曲に風荒れて流氷のごと海の泡立つ
090:恐怖     怖いもの知らずの孫が遊園地の「恐怖の館」に尻込みしおり