消費税増税 並行して改革必要(朝日新聞「声」)

 今日(6月22日)の朝日新聞東京本社版の「声」に私の投稿が掲載されたので転載する。
 私の投稿の掲載は10回を上回るし、今年になってからも3月6日に一度掲載されている。また、内容についても、それほど新味のあるものでもないので、多分無理だろうと思っていたのだが、予想外(?)の掲載である。なお、文章は合意の上で一部修正されているが、私の文章とは表現その他に多少の差異があるので、ここでは投稿原文のままで掲載する。(タイトルは編集部が作成したものを利用した。)


   消費税増税 並行して改革必要
                            無職 西中眞二郎(東京都練馬区・72歳)
 
 我が国の財政状況を考えれば、消費税の増税は避けられないものだと私は思う。しかし、消費税は低所得者に厳しい税制であり、その弊害除去のための工夫が必要だろう。商品によって差を付けるのも一案だろうが、技術的にはむずかしいのではないか。
私が提案したいのは、消費税増税額のうち最低限の家計支出に見合った額の全部又は一部を還付するという一種の還付金制度である。現金でも良いし、所得税の税額控除や金券の交付でも良い。要は、低所得者にも洩れなく行き渡る制度であることが肝腎であり、以前の定額交付金制度などが参考になるだろう。
 同時に必要なことは、高額所得者や資産保有者に対する増税である。このためには、納税者背番号制とすべての所得を通しての総合課税制度の採用が肝要であり、それを通して、所得税等の累進課税の強化、株式関係所得の優遇の廃止、併せて相続税課税最低限の引下げが必要だと思う。そういった措置と並行しての消費税の増税というのが、あるべき税制の姿だろう。
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 投稿内容は以上だが、枚数の関係で言い足りない部分もあるので、多少補足しておこう。
 現在の議論でも「還付金」という意見はあるようだが、どうも「低所得者に対する還付」という発想が強いようだ。私は、低所得者に限定する必要はないと思っている。
 まず考え方の問題として、「生活必需品の税率軽減」の代替策とも言うべき「還付金」だから、低所得者に限定する必要はないと思う。高額所得者は消費額も大きいだろうから、高額所得者の消費額に対する還付金の率は、相対的に見れば低い率になるはずであり、公正さの点から見ても、高額所得者を排除する必要はないと思う。累進課税の強化が図られればなおさらのことである。
 また、技術的な問題として、所得で線引きをするとすれば、個人の所得の把握が必要になって来るが、そのための制度の採用にはかなりの時間を必要とするだろう。消費税の増税は焦眉の急だと私は思っているので、所得把握制度の確立まで待ってはいられない。とすれば、両者は並行して進められるべきものであり、それを前提とすることによってタイミングを失することは妥当でないと思うからだ。


後注:本文の最後の方の文が「相続税課税最低限の引上げが必要」となっていることに、今頃になって気づいた。これでは「相続税の強化」という私の趣旨に反するし、全体の論旨との整合性もおかしくなる。慌てて送った原稿を見直してみたら、私自身の原稿ミスだった。記事自体の訂正は多分無理だろうとは思いつつ、「声」編集部に連絡するとともに、このブログも訂正した次第。(7月23日記)