北原白秋顕彰短歌大会

 「北原白秋顕彰短歌大会」という短歌の会が、白秋生地の福岡県柳川市の主催で毎年開かれている。今年は第40回にあたり、例年通り11月2日に開かれた。ある御縁で、ここ5年ばかり投稿していたのだが、今年私の作品が入選したので、ご報告しておきたい。
 今年の投稿作品数は361首、ローカルな短歌の会としては結構レベルの高い作品が揃っているようだ。選者は高野公彦、伊藤一彦、宮英子の各氏であり、それぞれの選者が天賞1首、地賞2首、人賞3首、佳作5首を選んでおり、このほかに投稿者の郵便投票による互選で同様の数の入選作が選ばれている。

 私が入選したのは、伊藤一彦氏選の地賞であり、
 
  「鬱」の字はまさしく鬱で 「黴」の字はいかにも黴で 長雨続く

という作品である。選者の評によれば、『「鬱」の字を材料にした歌は少なくないが、この作は「黴」と「鬱」の両方である。単調になるのを防ぐため「まさしく」「いかにも」と使いわけ、結句も巧みである。』とのことだった。また。席上の選評で、『鬱と黴を逆にしても良さそうだが、鬱という一般的な言葉を先に出して、黴という具体的な言葉を後にしたのも適切だ』という趣旨のお話があった。なお、この作品は、参加者の互選でも17票を頂戴して佳作に入選した。


 一昨年にも同じ伊藤氏の選で地賞に入選したのだが、その際は何分遠隔の地でもあるので大会には欠席した。今年はどうしようか大分迷ったのだが、二つの賞を頂くというのは、私にとっては滅多にないことだろうとも思い、思い立って出席した。もっとこじんまりした会かと思っていたら、200人くらいの方が出席されており、結構大きな会だという印象を受けた。


 いったん福岡に戻った後、翌日は、これまで行ったことがなかった宮崎県の高千穂町に、高速バスで行って来た。まだ紅葉には少し早かったが、高千穂神社の夜神楽は、長年にわたる伝承の重みと先人のユーモア感覚とを実感させるものがあり、なかなか面白かった。もうひとつ往きのバスでの感想だが、深い山を越した先にちょっとした町があり、また、山を越すと町があるというのも、当然のこととは言え面白かったし、人口が減少しているにもかかわらず、高千穂町の街並みが結構立派なことも、印象に残った。(地理と旅の好きな私だが、「市」になっていないような地方の由緒ある小都市(?)には、とりわけ関心が深いので・・・)