題詠100首百人一首・あとの祭

       題詠100首・百人一首「あとの祭」
 

 昨日12月4日のブログに、「題詠100首・百人一首」を載せた。結構苦労もしたが、何が出て来るかと思いつつの楽しい作業でもあった。皆様へのお詫びや釈明などは、その前々日2日のブログに書いているので、その繰返しは避けて、今日は、選定の終わったところでの感想や補足などを書くことにしたい。なお、去年書いたもの(昨年12月5日付け「あとの祭」)の焼き直しの部分も多いことを、まずお断りしておきたい。
  

 出来上がったものを眺めて抱いた感想は、これまでと同様この題詠100首のレベルの高さである。選定の適・不適は別として、こうして眺めてみると、いずれも高いレベルの作品であり、しかも当然のことながらそれぞれの作者の持ち味が出ており、どこに出しても恥ずかしくない作品集だという気がしている。多数の作品の中から手探りで宝探しをし、その結果としてこのような感想を持てることが、百人一首作成の最大の喜びと言って良いのかも知れない。
 

 作成の過程について、例年通り少し御説明をしておこう。

 百人一首の前提として、選歌集を77回(去年は88回)にわたってブログに掲載した。この催しの全作品20,697首(去年は23,348首)(注:主催者ブログのトラックバック件数として記載された件数。二重投稿や誤投稿もあるので、実作品数はこれより数%少ないと思う。)のうち、選歌集に掲載した作品数は、3,184首(去年は3,419首)である。残念ながらいずれも去年を少し下回っている。
 先日前夜祭にも書いたように、「題詠100首」の性格上、百人一首は、完走された方160人(去年は183人、人数は私を含む。)の作品に絞ったのだが、選歌集に載せた3,184首のうち完走された方の作品は2,677首(去年は2,793首)であり、この2,677首を百人一首の選歌の対象とした。(完走されたにもかかわらず完走報告をされていない方1名も、私の勝手な判断で完走者として扱っている。なお、このほかに私の作品も、補欠あるいはDHとして潜り込ませて頂いた。)
 
 
 完走者の作品のうち、選歌集で採らせて頂いた2,677首を作者別にカウントすると、
50首以上:4名 40首以上:4名 30首以上:11名 20首以上:38名 15首以上:17名 10首以上:27名  以上合計101名
となっている。一昨年までは10首以上の方を優先して選定したのだが、今年は10首以上の方が100名を超えたので、昨年に倣って13首以上の85名の方の作品を原則として選ばせて頂くという方針で作業したのだが、結果としてこの85名の方の作品はすべて採ることができた。その後、選者の役得で私の作品も1首入れた上で、残りの14首はその他の完走者から選ばせて頂いた。結果としてその14名の方については、12首の方の作品はすべて入れることができ、その他もほとんど選歌数10首以上の方となっている。10首前後の方からは、当然のことながら選ばれた方とそうでない方が生まれ、作者と作品のマトリックスの関係もあって運不運(?)が分かれているが、この点はお許し願うしかあるまい。 
 
 マトリックスにつき、少し補足しよう。それぞれの題と作者からそれぞれ候補作を選び、その組合せを考えて行った。方法としては、一目惚れした作品をまず選び(これは極めて少数)、次いで比較的迷わずに選定できる題や作者(多くの場合、候補作の少ない題や作者)の作品を順次選ぶといった方法で、次第に絞って行った。
 一応出来上がった後で、入れなかった作品を見渡してみて、「これは是非入れたいな」と思うものも沢山あるのだが、それを入れると、既に入れたその方の作品を落とすことは当然として、その題のほかの方の作品も落とさなければならない。落とした方は他の題で入れなければならないし、その結果落ちる方がまた出て来る。その種の玉突き状態を繰り返していると収拾がつかなくなり、仮りに何とかなったとしてもどこかに無理が出て、全体として見れば、当初のものより出来の悪い結果になる可能性が大きい。とは言いつつも、なるべく満足できるものにしたいと思い、何度かの「玉突き」は行った。実は、最終案に近い案は3日に一応完成したのだが、もう少し良いものにしたいと思い、昨4日にも再度玉突きを行って打ち止めとし、それを確定版として4日のブログに載せた次第だ。それにしても素晴らしい「玉」が漏れているケースも結構あると思うが、最後は、目をつぶって妥協せざるを得なかったという点はお許し頂きたい。
 

 先日も書いたように、選歌集自体全くの私の独断と気紛れの産物なのだが、それを母体とした「百人一首」も、その点では同様である。ただ、なるべくそれぞれの題のベストクラス(もちろん私の勝手な物差しによるものだが・・・)のものを、またそれぞれの作者のベストクラスのものを選びたいと思い、それなりに苦労もし、私の物差しからすればそこそこの選定はできたと思ってはいるのだが、果たして如何なものか。選ばれなかった方にとってはもとより、選ばれた方にも「自分のベストはこれではない」という御不満は残ると思うが、題と作者のマトリックスという難題に免じて、その点はお許し頂きたい。
 

 選定の準備段階として、選歌集を纏める都度、その作品をパソコンの「エクセル」に入れて整理していたのだが、これは最終段階の労力をかなり省いてくれた。最初の1年は普通の「ワード」で整理していたので、最終段階でかなり無駄な作業も必要になったが、2年目から少し智恵が付いて「エクセル」にしたため、題や作者別に整理し直し、見直すのが、随分楽になった。


 選歌集に載せた完走者の作品2,677首を、題別に見ると、次のような結果になっている。私の目から見て難題だと思った「あとがき」や「指紋」が上位に位置しているのは少々意外だったが、これも最終整理の段階での新発見(?)で、その意外性も面白く感じたところだ。なお、当然のことながら、選歌の母体となった作品数は、題にかかわりなく完走者数(160人から私を除いた159人)と同じはずである。完走されなかった方を含む総投稿数は、当然のことながらはじめの方が多く、後の方ほど少ない(トラックバックの件数レベルで、題001の投稿数351、題100の投稿数159)。

<44>001:春
<39>074:あとがき  <38>071:褪、088:マニキュア  <36>009:菜、011:青、016:館、033:みかん  <35>078:指紋
<34>057:台所  <33>054:戯、083:孤独  <32>010:かけら、050:虹、080:夜、085:訛  <31>020:まぐれ、062:ネクタイ、075:微、095:黒  <30>034:孫、039:怠、046:じゃんけん、063:仏、067:匿名
<29>018:京、037:奥、045:群、047:蒸、049:袋、053ぽかん、068:怒  <28>012:穏、014:接、032:苦、041:鉛、043:剥、059:病  <27>021:狐、048:来世、056:枯、065:骨、084:千、091:旅  <26>004:疑、077:対  <25>003:公園、007:決、028:陰、038:空耳、040:レンズ、099:イコール
<24>019:押、023:魂、025:環、030:秤、052:婆、061:奴、070:白衣、081:シェフ、090:恐怖、094:底  <23>002:暇、013:元気、024:相撲、035:金、044:ペット、051:番号、060:漫画、072:コップ、073:弁、086:水たまり、096:交差、100:福  <22>017:最近、064:ふたご  <21>005:乗、015:ガール、022:カレンダー、027:そわそわ、076:スーパー、087:麗、098:腕  <20>026:丸、031:SF、055:アメリカ、066:雛、069:島、079:第、082:弾、089:泡、092:烈
<19>029:利用、042:学者、058:脳、097:換  <18>006:サイン、036:正義、093:全部  <14>008:南北


 以上、甚だ勝手な百人一首であり、独りよがりの感想だが、皆様に多少なりとも御評価頂ければ、まことにありがたいことである。来年も、古希を過ぎて数年になる私の気力と体力が続く限り、皆様にお目にかかれることを楽しみにしている。なお、これでこのブログ、短歌関係はしばらくお休みになるのだと思う。弁護士事務所ありキャバクラありの雑居ビルのようなブログだが、このブログもたまにはお覗き頂ければ幸甚である。それでは皆様、どうかお元気で新しい年をお迎え下さい。また来年お目にかかりましょう。


注:後の祭り(インターネットの「大辞林」より)
[1] 祭りの翌日、供え物を下げて飲食すること。後宴。[2]〔補説〕 祭りのすんだあとの山車(だし)の意から、時機を逸して甲斐のないこと。手遅れ。悔やんでも「後の祭り」だ