平成22年国勢調査

                平成22年国勢調査

 
 今日から暫くの間は、私にとって、5年に1度の書き入れどきだ。というのは、5年に1度の国勢調査の速報値(昨年10月1日現在)が今日公表されたからだ。
 国勢調査結果の整理や分析は、私にとっての最大の道楽で、これまでにも2冊の著書も刊行したし、このブログも含め、小論もいくつか書いている。また、今回の調査についても、ある刊行物に小論を載せる予約(?)をしており、早速データの整理に掛らなければならない。
 もっとも、今日の公表データは速報値で、この秋くらいには確報値が公表されるわけだが、速報値と確報値ではさほどの違いはなく、とりあえず速報値に基づく整理・分析を急ぎたいところだ。確報値は、前回の平成17年調査で11,179人、前々回の平成12年調査で6,555人、それぞれ速報値を上回っているが、1億人を大きく超える総人口からすれば、無視できる程度の違いである。もっとも前々回の場合、岡山県の人口が、速報値では減少、確報値では増加という結果になり、速報段階で発表した小論が結果としては「誤報」になったこともあるが、これは極めて稀なケースと言っても良いだろう。  

 
 国勢調査については、さまざまな批判もある。多くは個人情報の保護の観点からの批判である。これまでの調査は、調査員の方が世帯毎に直接面接し、内容のチェックをするのが原則だったが、今回の調査から、密封して郵送するというスタイルが原則になった。そのため、チェックや集計に時間を要することになったようで、これまでは年末に公表されていた速報値が、今回は約2カ月遅れの2月25日公表になったわけだ。
 「個人情報の保護」という考え方に異論はないが、国の正確な姿を捉えるという重要な目的を持つ調査であり、調査員には守秘義務も課せられているので、あまり神経質になるのもいかがなものかとも思う。もっとも、今回の調査でも、個人の学歴を問う設問などがあり、調査員の目に触れることに抵抗を感じる人もいるだろう。それらを比較考量すれば、今後この調査をスムーズに進めて行くためには、設問の内容には、もう少し配慮があっても良いという気がしないでもない。


 前置きが長くなり過ぎた。今回の調査結果の我が国総人口は1億2805万6026人であり、5年前の前回調査に比して、0.2%という極めてわずかな数字ではあるが増加を示している。今回調査ではてっきり減少の数字が出ると思い込んでいたのだが、これは意外な結果だった(注)。それにしても、これは大正9年の第1回調査以来、戦後間もなくの昭和20年調査を除き最低の伸びであり、我が国がこれまでの「人口増」とは異なる路線を歩みはじめたという事実を、あらためて痛感するところだ。
 (注)私の想像だが、5年前と今回との間に人口のピークがあり、現在は既に減少に転じているのだが、5年前と比べれば微増という結果になったということではないかと思う。
 
 都道府県別に見ても、増加したのは東京都をはじめとする1都1府7県のみであり、前回の15都府県を大きく下回っている。しかも、増加都府県は、東京都をはじめとする首都圏中核部と大阪府、愛知県等、概ね大都市部とその周辺の都府県に限られて来た。ここ何回かに見られた傾向ではあるが、都市部のみが栄えるという傾向がいよいよ顕著になって来たようで、これからの全国や地域の施策は、このような「ひずみ」にいかに対応して行くかということが、ますます肝要になって来ると思われる。

 
 もう少し書きたいこともあるのだが、現在のところ未整理だし、それに先に書いたように、ある刊行物に小論を載せることにしており、それを先取りしてこのブログに書くことも問題だと思うので、今日のところは、ここまでに止めておきたい。


(このブログに関して言えば、私にとって5年に1度の「大祭」である国勢調査関係で当面忙殺されそうなので、短歌の題詠100首関係は、少しペースを落とさざるを得ないかなとも思っている。)