題詠2012投稿(031〜040)

       題詠2012投稿(031〜040)

031:大人
ひさびさに会いたる孫らそれぞれに大人びたれば我れが照れおり
032:詰
若きころは詰めが甘いと思いおりし男も立派な幹部となりぬ
033:滝
音だけはすれど木立の遮りて滝の姿は見えぬまま行く
034:聞
金沢の娘の家は五時となれば遠いお寺の鐘が聞こえる
035:むしろ
やらぬ方がむしろましだと思いつつ半端なことをせしこともあり
036:右
船ひとつ過ぎし跡らし運河の水左右に分かれ波立ちている
037:牙
西班牙(エスパニア)の商館長(カピタン)たちは紅き酒酌み交わしいぬ月は半月
038:的
老いゆえかこのところ我が詠む歌は直線的なもののみ多し
039:蹴
蹴球(しゅうきゅう)と呼びて遊びしこともありし少年時代は無限の彼方
040:勉強
勉強してみますと言われて日は過ぎていつしか冬も終りとなりぬ