題詠2012投稿(071〜080)

        題詠2012投稿(071〜080)


071:籠
常の如く一人書斎に籠もりおれど妻留守の日はやや落ち着かず
072:狭
トンネルを出でし谷間の空狭く飛行機雲が横切りており
073:庫
み仏は切れ長の目で笑みており庫裏(くり)吹き抜ける風の涼しく
074:無精
無精ひげのままで賀状の返事出す正月三日陽はおぼろにて
075:溶
落ちるより雪は溶け行き梅いまだ芽吹かぬままの庭二月尽
076:桃
トンネルを抜ければ桃の花盛り甲府盆地の午後は晴れたり
077:転
川沿いを自転車で行く女生徒らを見れば懐かし青い山脈
078:査
旅の宿でまどろみたるかと思いつつ検査の後の夢より覚める
079:帯
房総の工場地帯も著く見え一月五日の空澄みている
080:たわむれ
たわむれに相続税申告書いてみる当分生きる積りにあれど