題詠2012投稿(081〜090)

       題詠2012投稿(081〜090)


081:秋
晩秋の日射しを受ける家ありて軒いっぱいに干柿吊るす
082:苔
苔寺で雨聞きしことありたるをテレビを見つつ思い出しおり
083:邪
天の邪鬼(あまのじゃく)が心の隅から顔出して禁煙無用と呟いて去る
084:西洋
古びたる西洋館の並ぶ街を歩みし午後は日の照りていき
085:甲
若き日の歌読みおれば年甲斐なき感傷も湧き夜の更けたり
086:片
久々の友は片手を軽く上げて葬列後尾に加わり行けり
087:チャンス
チャンスとの感覚既に失せたるも古希過ぎし身の常なることか
088:訂
改訂の意欲はあれど売れそうにないと言われて電話を切りぬ
089:喪
悔み状書くも億劫なるままに喪中葉書の整理しており
090:舌
いっぱしの百姓気取りでおりたるが我れ口舌の徒となりて久しき