少子高齢化(スペース・マガジン3月号)

 例によって、スペース・マガジン(日立市で刊行されているタウン誌)からの転載である。



     [愚想管見] 少子高齢化         西中眞二郎

 少子高齢化については3年前にも触れたが、22年国勢調査の結果が出たので、重ねてざっと眺めてみよう。平成22年の我が国人口の年齢別構成を見ると、14歳までの「こども人口」が全体の13.2%、65歳以上の「高齢者人口」が全体の23.0%という結果になっている。5年前の平成17年データに比べて、「こども人口」が0.5ポイントの減少、「高齢者人口」が2.9ポイントの増加であり、「高齢者人口」の比率の増加が著しい。更に遡って20年前の平成2年の数字を見ると、こども人口が18.2%、高齢者人口が12.0%だったのだから、相当な変化である。因みに、高度成長期の昭和40年の構成を見ると、こどもが25.7%、高齢者が6.3%と、現在と全く異なる様相を呈している。
 平成22年について県別に見ると、「こどもの率」が圧倒的に高いのが沖縄県で17.8%、逆に最も低いのは東京都の11.4%である。茨城県は13.5%、日立市は13.4%と全国平均をやや上回る。「高齢者の率」を見ると、最大が秋田県の29.6%、最小が沖縄県の17.4%である。茨城県は22.5%と全国をやや下回り、日立市は25.3%と全国をやや上回る。

 両者を総合した数字として、こどもの数を高齢者の数で割った数字、これを「幼/老比率」と呼んでも良かろうが、その「幼/老比率」を年次別に見ると、昭和40年の4.1倍を別格として、平成2年が1.5倍、平成7年が1.1倍であったのに対し、平成12年には83.9%と100を切り、平成22年には57.5%とその減少ぶりが著しい。いまやこどもの数は、高齢者の数の半分をわずかに上回るレベルにまで減少しているわけである。県別に見ると、沖縄県の102.4%が唯一100%を超えて図抜けた存在になっており、逆に最も低いのが秋田県の38.7%、高知県島根県が40%台前半でこれに続く。茨城県は60.1%、日立市は53.2%と、全国レベル前後の数値だが、5年前に比べると、10ポイントを超える大幅な低下である。
 話のついでに、この「幼/老比率」を市町村単位で見てみよう。最も高いのが東京都青ヶ島村の166.7%、これに同じく東京都の離島である小笠原村が続き、以下仙台市近郊の富谷町、東京近郊の千葉県浦安市沖縄県豊見城市、愛知県のみよし市と新興住宅都市が続く。
 逆に最も低いのが群馬県南牧村の7.4%、同じく群馬県神流町高知県大豊町奈良県川上村が10%未満でこれに続く。いずれも山間部の過疎の町村であり、これらの町村のこどもの数は、高齢者の数の1割にも満たないわけである。皆様にとっては馴染みのない地名が続いたので、市に限って「幼/老比率」の低いものを拾ってみると、北海道の夕張市三笠市歌志内市が20%未満であり、これに湯の町熱海市、北海道の赤平市高知県室戸市が20%をわずかに上回る数字で続く。熱海市を除けば、いずれも人口減少の著しい過疎の市であり、これからもこの傾向がいよいよ強まることが懸念される。(スペース・マガジン3月号所収)