題詠100首選歌集(その61)

 昨日で今年の題詠100首も終わった。去年よりは少し少ない数だったが、最後のラッシュで、まあまあの結果は得られたようだ。従来通りの選歌集(在庫25首以上の題について選歌)はこれにて終了、明日は積み残しの題を選歌し、明後日以降、百人一首の選歌に掛かろうかと思っている。


           選歌集・その61


060:プレゼント(127〜151)
(鮎美)あなたへの最初で最後のプレゼント結婚祝ひのペアマグ選ぶ
070:芸(126〜151) なし
089:喪(107〜132)
(出雲もこみ)家を出て初めて買った洋服はいつか来る日の喪服一式
(久野はすみ)これは絽よこちらは袷この無地を着せてと母は喪を待つごとく
(青山みのり)ゆく秋の喪に服さむと西空の黒ひといろに暮れてゆきたり
(矢野理々座)年とともに結婚式は縁遠く喪服で出かけることだけ増える
094:担(101〜130)
(久野はすみ)重き荷を振り分けにして担ぎたり善しと悪しとをときどき替えて
(青山みのり)担架のようなベンチにからむ蔦の葉の色を深めてゆく昼下がり
(やや)辛口の担々麺を食べながら身のうえ話聞かされている
(藤崎しづく)どちらかといえば負担の多い方ばかり選んでかかとをあげる
095:樹(102〜133)
(山本左足)突風になぎ倒された街路樹が寝っ転がって月を見ている
(村木美月)街路樹のイルミネーションまた今年シュールな夢をぶら下げにいく
(田中ましろ)おだやかな週末もあり雨降りの音は樹木にしみこんでいく
096:拭(101〜133)
(黒崎聡美)何度でも誓いを立てるベランダの物干し竿をていねいに拭く
(杜崎アオ)もうみんな南へ行ってしまったよ風ののこりをそっと拭きとる
(ネコノカナエ)晴れたなら銀の脚立をよじ登り一番上の窓を拭こうか
097:尾(103〜129)
(村木美月)私にも尻尾の名残があるようで嬉しい日には無意識に振る
098:激(103〜134)
(葉月きらら)激情はせせらぎになり穏やかに愛することが出来る幸せ
(久野はすみ)そのむかし激しく責めしことなども朧月夜の酒の肴に
(鮎美)落雷の激しき夜の明ける頃街は静かに雪を被らむ
099:趣(104〜128) なし
100:先(101〜134)
今泉洋子)結論は先送りすることもよし今年の山茶花一気に咲けり
(星桔梗)新しい世界で生きてみたいのに先入観が邪魔をしている
(青山みのり)昨日にも今日にも飽きて日めくりに先ずは子猫をさがす夕暮れ