題詠100首百人一首・あとの祭

      題詠100首・百人一首「あとの祭」
 

 昨日12月4日のブログに、「題詠100首・百人一首」を載せた。結構苦労もしたが、先が見えない中で、何が出て来るかと思いつつの楽しい作業でもあった。皆様へのお詫びや釈明などは、その前日3日のブログに書いているので、その繰返しは避けて、今日は、選定の終わったところでの感想や補足などを書くことにしたい。なお、去年書いたもの(昨年12月5日付け「あとの祭」)の焼き直しの部分も多いことを、まずお断りしておきたい。
  
 後で触れるように、今年はこれまでより作品の数が少なく、3日の前夜祭でも書いたように、完走者の作品だけで百人一首ができるかどうか不安だったのだが、どうにか完走者だけでまとめることができた。それだけに、多少無理なところが出ていないかどうか、少々心配でもある。しかし、出来上がったものを眺めたところでは、これまでと比較してもそう悪いものではないなと思っている。


 作成の過程について、例年通り少し御説明をしておこう。
 百人一首の前提として、選歌集を65回(去年は72回)にわたってブログに掲載した。この催しの全作品16,561首(去年は19,144首)(注:主催者ブログのトラックバック件数として記載された件数。二重投稿や誤投稿もあるので、実作品数はこれより数%少ないと思う。)のうち、選歌集に掲載した作品数は、1,857首(去年は2,491首)である。残念ながらいずれも去年をかなり下回っている。
 先日前夜祭にも書いたように、「題詠100首」の性格上、百人一首は、完走された方124人(去年は142人。いずれも私を含む。)の作品に絞ったのだが、選歌集に載せた1,857首のうち完走された方の作品は1,560首(去年は2,021首)であり、この1,560首を百人一首の選歌の対象とした。このほか、完走されたにもかかわらず完走報告をされていない方7名も、私の勝手な判断で完走者として扱っており(したがって完走者合計131名)、上記の短歌数にはこれらの方々の作品も計算に入れている。なお、このほかに私の作品も、補欠あるいはDHとして潜り込ませて頂いた。
 ところで、第099の投稿数は128首のようなので、以上の完走者の数はこれを上回るという妙な結果になっている。おそらく第099の投稿洩れの方がおられるのだと思う。第099だけに限れば、そのチェックは容易だろうが、他の題についても同じような投稿洩れはあり得ると思うし、とてもそこまでのチェックには手が回らない。それに考えてみれば、「完走者に限る」という私のルールも至って恣意的なものなので、必ずしも厳密である必要はないものと勝手に判断して、細かい矛盾には目をつぶることにした。 


 完走者の作品のうち、選歌集で採らせて頂いた1,560首を作者別にカウントすると、
50首以上:3名 40首以上:0名 30首以上:5名 20首以上:17名 15首以上:15名 10首以上:25名  以上合計65名
となっている。昨年は10首以上の84名の方の作品を原則として選ばせて頂くという方針で作業したのだが、今年は例年に比して数が少なく、選歌作品の数による線引きには自信がなかったので、数はこだわらずに選定することにし、選者の役得で私の作品も1首入れさせて頂いた。その結果、選歌作品の数6首以上の方は、全員入る結果となった。また、5首以下の方は、作品の内容と題とのマトリックスとの関係で個別に判断することとしたので、5首でも入らなかった方や、1首でも入った方も出て来たが、これはマトリックスとの関係でやむを得ないものとしてお赦し願うしかないと思っている。 
 

 マトリックスにつき、少し補足しよう。それぞれの題と作者からそれぞれ候補作を選び、その組合せを考えて行った。方法としては、一目惚れした作品をまず選び(これは極めて少数)、次いで比較的迷わずに選定できる題や作者(多くの場合、候補作の少ない題や作者)の作品を順次選ぶといった方法で、次第に絞って行った。
 一応出来上がった後で、入れなかった作品を見渡してみて、「これは是非入れたいな」と思うものも沢山あるのだが、それを入れると、既に入れたその方の作品を落とすことは当然として、その題のほかの方の作品も落とさなければならない。落とした方は他の題で入れなければならないし、その結果落ちる方がまた出て来る。その種の玉突き状態を繰り返していると収拾がつかなくなり、仮りに何とかなったとしてもどこかに無理が出て、全体として見れば、当初のものより出来の悪い結果になる可能性が大きい。とは言いつつも、なるべく満足できるものにしたいと思い、何度かの「玉突き」は行った。それにしても素晴らしい「玉」が漏れているケースも結構あると思うが、最後は、目をつぶって妥協せざるを得なかったという点はお許し頂きたい。
 

 先日も書いたように、選歌集自体全くの私の独断と気紛れの産物なのだが、それを母体とした「百人一首」も、その点では同様である。ただ、なるべくそれぞれの題のベストクラス(もちろん私の勝手な物差しによるものだが・・・)のものを、またそれぞれの作者のベストクラスのものを選びたいと思い、それなりに苦労もし、私の物差しからすればそこそこの選定はできたと思ってはいるのだが、果たして如何なものか。選ばれなかった方にとってはもとより、選ばれた方にも「自分のベストはこれではない」という御不満は残ると思うが、題と作者のマトリックスという難題に免じて、その点はお許し頂きたい。(選歌というもの、作品の評価と同時に、選者の力量と感覚を問われているものだと思い、いささか恐れを抱いているところでもある。)


 選定の準備段階として、選歌集を纏める都度、その作品をパソコンの「エクセル」に入れて整理していたのだが、これは最終段階の労力をかなり省いてくれた。最初の1年は普通の「ワード」で整理していたので、最終段階でかなり無駄な作業も必要になったが、2年目から少し智恵が付いて「エクセル」にしたため、題や作者別に整理し直し、見直すのが、随分楽になった。


 選歌集に載せた完走者の作品1,560首を、題別に見ると、次のような結果になっている。なお、当然のことながら、選歌の母体となった作品数は、題にかかわりなく完走者数(131人から私を除いた130人)と同じはずである。完走されなかった方を含む総投稿数は、当然のことながらはじめの方が多く、後の方ほど少ない(主催者のブログに表示されたトラックバックの件数レベルで、題001の投稿数275、題100の投稿数134)
<24>047:ふるさと、056:晩 <23>001:今、020:劇、026:シャワー、059:貝 <22>011:揃、015:図書、029:座、043:輝 <21>041:喫、086:片 <20>005:点、006:時代、013:逆、025:触、039:蹴、077:転、081:秋
<19>032:詰、034:聞、042:稲  <18>004:果、009:程、046:犀、053:渋、066:息、071:籠、073:庫、092:童  <17>002:隣、012:眉、016:力、018:希、024:玩、028:脂、060:プレゼント、079:帯、089:喪  <16>014:偉、030:敗、055:きっと  <15>003:散、010:カード、017:従、035:むしろ、037:牙、045:罰、052:世話、054:武、063:久しぶり、069:カレー、076:桃、082:苔、090:舌、094:担、095:樹、096:拭
<14>008:深、038:的、049:敷、057:紐、065:酢、074:無精、097:尾、099:趣、100:先  <13>007:驚、021:示、031:大人、040:勉強、050:活、058:涙、061:企、064:志、075:溶、078:査、080:たわむれ、088:訂、091:締  <12>027:損、033:滝、036:右、048:謎、067:鎖  <11>019:そっくり、044:ドライ、068:巨、070:芸、083::邪、084:西洋、085:甲  <10>022:突然、051:囲、062:軸、072:狭、087:チャンス、098:激
<9>023:必  <7>093:条件


 以上、甚だ勝手な百人一首であり、独りよがりの感想だが、皆様に多少なりとも御評価頂ければ、まことにありがたいことである。来年も、数え年で喜寿を迎える私の気力と体力が続く限り、皆様にお目にかかれることを楽しみにしている。なお、これでこのブログ、短歌関係はしばらくお休みになるのだと思う。弁護士事務所ありキャバクラありの雑居ビルのようなブログだが、このブログもたまにはお覗き頂ければ幸甚である。それでは皆様、どうかお元気で新しい年をお迎え下さい。また来年お目にかかりましょう。


注:後の祭り(インターネットの「大辞林」より)
[1]祭りの翌日、供え物を下げて飲食すること。後宴。[2]〔補説〕 祭りのすんだあとの山車(だし)の意から、時機を逸して甲斐のないこと。手遅れ。悔やんでも「後の祭り」だ 。