レーダー照射は「貸し」にして

中国軍艦によるレーダー照射については、中国側は全面否定し、日本側に対し強硬な姿勢で臨んでいるようだ。これに対し、日本側も強い姿勢で臨んでいるようであり、そのエスカレートが懸念される。

我が国政府の抗議は、当然確信を持った上でのことだろう。しかし、「やった、やらない」の応酬は、こどもの喧嘩にも似た話であり、決して好ましいものだとは思われない。
中国側による否定は高姿勢のようだが、裏側から見れば、「レーダー照射は国際的にも支持されないものだ」という認識を前提にしているものだと思われるし、全面否定した以上、今後レーダー照射をすることは困難になるだろう。そういった意味では、これは我が国にとっては、「頂き」ともいうべき有利な材料である。この際、我が国として取るべき道は、先方をギリギリ追いつめることではなく、先方の退路をふさがずにその主張を淡々と聞くという大人の態度ではないのか。

 当方の主張を貫いた上で柔軟な姿勢をとることは、むずかしい話かも知れないが、知恵を絞れば何とか工夫できる話だろう。いずれにせよ、この一連のトラブルを、我が国からの「貸し」として、むしろプラス方向に利用するくらいの図太さと柔軟性があっても良いのではないか。