目に余る人事の私物化(朝日新聞「声」掲載)

 11月14日の朝日新聞東京本社版の「声」に私の投稿が掲載されたので転載する。掲載されたものは多少内容が変わっているが、ここでは私の投稿した原文を載せることにする。
 なお、末尾にある内閣法制局長官人事と集団的自衛権有識者人事に関する私見はいずれも以前「声」に掲載されたことがあり、今年8月9日と2007年4月29日のこのブログに転載している。         



       目に余る人事の私物化

             東京都 西中眞二郎 76歳  無職

 NHK経営委員会の人事が決まったようだが、偏った人選には、大いに疑問がある。菅官房長官の言によれば「任命権者が信頼している人を起用するのは当然だ」とのことだが、基本的な認識に誤りがあるのではないか。任命権者が総理だということは、総理個人の好みで人選をして良いということではなく、行政権のトップたる総理の判断と責任で公正な人選をせよということであり、私的な関係などを判断の要素に加えるべきものではない。
 自分の個人的な知人、自分を応援する人などは、むしろ積極的に排除すべき存在なのではないか。これらの人々は、裁判官の人選などであれば、忌避理由にすら該当する人々だと思う。
 もとより、総理の側近として国政に当たる人などの場合は、私的な判断も是認できるだろうが、いわば中立・公正な立場を期待されるNHK経営委員会のメンバーに関しては、極めて問題の多い人選だと思う。先の内閣法制局長官の人事にせよ、第1次内閣の際の集団的自衛権に関する専門家の人選にせよ、安倍総理の人事の私物化には目に余るものがある。総理や官房長官の独走に対し、ブレーキを掛けようともしない与党にも、失望せざるを得ない。