解散・総選挙の狙いは何か

 先日朝日新聞の「声」に投稿したのだが、同じような趣旨の投稿がその後いくつか載ってしまったし、社説にも同じようなものが掲載されたので、これから載ることもあるまいと思い、微調整した上でこのブログに掲載することにした。なお、これまでは、そのような場合、少し手を加えて、私がコラムを持っている「スペース・マガジン」という日立市で刊行されているタウン誌の原稿に流用することもあったのだが、同誌への寄稿も10年に及び、この12月号を最後に引退することにしたので、これからはこのブログに載せる以外の手はなくなったわけだ。


         解散・総選挙の狙いは何か

 観測気球かと思っていたら、あれよあれよという間に、解散・総選挙が現実のものになってしまった。良く判らない話だ。消費税に限って言えば、先の民主党政権が結果として自らを犠牲にしてまで作ってくれたせっかくの増税路線から外れてしまうことは、政治的にはあまり賢明な策だとは思えない。アベノミクスの看板を掛け替えることも、メンツの上からもよもやあるまい。
 1強を誇る与党の現状からすれば、今度の選挙の結果議席数が増えることはあまり期待できないだろうし、減少をいかに少なくするかが限度ということだろう。そんなことを考えると、今回の解散・総選挙は、大義名分のみならず、党利党略の面から見ても、十分納得できるものではない。
 その狙いを推測すれば、安倍政権の安定期間を、「これからの4年間」に引き延ばすということだとしか思えない。集団的自衛権その他、国論を2分する大きな課題は、憲法改正を含めいくつかある。選挙公約のどこかに、これらを目立たぬように潜り込ませ、いったん選挙に勝てば、「国民の信を得た」と称してこれらの「懸案」に強気で取り組む―――それが今回の解散の真の狙いではないのか。
 政権は、これらの狙いをあからさまに公言はしないだろうが、安倍さんのこれまでの行動パターンからすれば十分あり得る話であり、そういった狙いがあり得ることを十分意識してこのたびの選挙に臨む必要があるのだと思う。